2016 Fiscal Year Annual Research Report
非ステロイド性抗炎症薬によるシスプラチン誘発性腎障害の悪化機序の解明
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16H00487
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 佳敬 北海道大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | シスプラチン / 腎障害 / NSAIDs |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が先行して実施したシスプラチン(CDDP)起因性腎障害(CDDP-induced nephrotoxicity ; CIN)に関する臨床研究において、化学療法導入時点での非ステロイド性消炎鎮痛薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs ; NSAIDs)の定期内服がCIN出現のリスク因子であることが明らかとなった。一方でラットを用いた研究ではシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を選択的に阻害するセレコキシブがCINを軽減することが報告されている。実臨床ではがん性疼痛や腫瘍熱に対してはCOX非選択的阻害薬が用いられることが多く、実際、我々が実施した臨床研究で投与されたNSAIDsは全てCOX非選択的阻害薬であるロキソプロフェンであった。そのため、COXの阻害様式の差が試験結果の乖離を生じた要因と仮定し、COX非選択的阻害薬とCOX-2選択的阻害薬の投与がCINに与える影響を検討した。 実験方法としては我々が投与法として確立したCDDP 2.5mg/kgの単回投与法を用いた。CDDPの投与に伴い、腎機能障害の指標として用いた血清クレアチニン値、腎Kidney injury morecule-1発現は有意に上昇しCINの出現が確認された。腎皮質におけるCOX-2のmRNA発現量はCDDPの投与に伴い有意に低下した。本検討ではCOX非選択的阻害薬としてロキソプロフェン、ジクロフェナクを、COX-2選択阻害薬としてセレコキシブを用いた。これら薬物をラットに用いた既報での投与量はヒトへの一般的な投与量と比較してかなり高用量であることから、現在両薬剤の至適投与量を検討中である。 CINは急性かつ蓄積性に悪化することが知られており、今後はCDDP単回投与のみならず、反復投与時でのCOXの変動について検討することも想定し現在実験系を構築しているところである。
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