2016 Fiscal Year Annual Research Report
プラバスタチン血中濃度と糖尿病発症に及ぼすSLCO1B1遺伝子多型の影響
Project/Area Number |
16H00488
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐々木 克也 秋田大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | HMG-CoA還元酵素阻害薬 / OATP1B1 / 血中濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は高脂血症治療薬として広く使用されているが、近年スタチンの新規糖尿病発症に及ぼす影響に関し多数報告されている。中でも、プラバスタチン(PRA)は初期の一次予防試験であるWOSCOPS試験においてはプラセボ群に比べ糖尿病発症を30%抑制したが、その後のメタ解析では有意差は認められず、糖尿病発症を抑制するか否かは未だ議論が分かれている。一方、薬物動態学的性質としてPRAは肝臓に発現するトランスポーターOATP1B1の基質となり、肝細胞に取り込まれ薬効を発揮する。またOATP1B1をコードする遺伝子SLCO1B1の遺伝子多型によりPRA血中濃度は大きく変化することが知られている。しかしながらSLCO1B1遺伝子多型が長期服用後のPRA血中濃度と糖尿病発症に及ぼす影響は明らかにされていない。本研究ではSLCO1B1遺伝子多型が長期服用後のPRA血中濃度と新規糖尿病発症に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 【研究方法】 血漿サンプル200μLから、他のスタチン系薬剤を内標準物質として高速液体クロマトグラフィーによるPRA血中濃度の高感度かつ簡便な測定系を確立する。その後対象をPRA服用中の脂質異常症患者約100名とし、そのうち既にスタチン服用開始後に糖尿病を発症している約30名を含め、これらの患者血液サンプルよりPRA血中濃度測定、SLCO1B1遺伝子多型解析を行う。新規糖尿病発症の有無で患者を2群に分け、以下の検討項目についてMann-Whitney U検定、χ二乗検定を用いて背景を比較し、多重ロジスティック解析を用いて糖尿病発症に影響を及ぼす独立因子を特定する。(検討項目 : 年齢、性別、体重、BMI、HbA1c、併用薬、SLCO1B1遺伝子多型、PRA血中濃度、PRA服用期間) 【研究成果】 血漿サンプル200μLから、他のスタチン系薬剤を内標準物質として高速液体クロマトグラフィーによるPRA血中濃度の高感度かつ簡便な測定系を確立した。今後、患者血液サンプルを用いてPRA血中濃度とSLCO1B1遺伝子多型解析情報の解析を行う見込みである。
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