2016 Fiscal Year Annual Research Report
準完全長HIV-1プロウイルスの定量による機能的治癒が期待される治療法の検討
Project/Area Number |
16H00501
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小谷 宙 慶應義塾大学病院, 薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 抗HIV治療(あるいは「HIV」と「抗HIV治療」) / 準完全長プロウイルス / 機能的治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗レトロウイルス治療によるHIV患者の機能的治癒を評価する指標として準完全長プロウイルス量が有効であるかどうかを検討するため、未治療患者6人と3年以上ウイルス量が検出下限未満の状態が続く既治療患者6人を対象に、末梢血単核球中の準完全長プロウイルス量を比較した。ここでいう準完全長プロウイルスとは、U5、gag、vif、env、U3の5つの領域を同時にもつプロウイルスを指す。各領域の検出は、multiplex nested PCR産物をアガロースゲル電気泳動することによって行った。未治療患者では、断片化したものも含むプロウイルス(以下、プロウイルス)は平均526 copies/μg(単核球DNA 1 μgあたり、以下同じ)(範囲、59-765 copies/μg)、準完全長プロウイルスは平均28 copes/μg(範囲、11-65 copies/μg)であった。既治療患者では、プロウイルスは平均108 copies/μg(範囲、14-116)、準完全長プロウイルスは平均0.8 copy/μg(範囲0.0-1.0 copy/μg)であった。すなわち、治療前後で比較すると、プロウイルス量は1/19に減少していたが、準完全長プロウイルスは1/140まで減少していた。断片化したプロウイルスは感染性をもたないことを考えると、機能的治癒の評価には、準完全長プロウイルスを指標とする方が有効であると考えられる。また、一定の末梢血単核球DNAの中に準完全長プロウイルスが検出されない患者を対象に抗レトロウイルス治療の中断あるいは減薬を試行することによって、治療患者のQOLの向上や医療費の抑制につながる可能性がある。 抗HIV治療(あるいは、「HIV」と「抗HIV治療」) 準完全長プロウイルス 機能的治癒
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