2016 Fiscal Year Annual Research Report
抗真菌薬による抗がん剤誘発性末梢神経障害の増強に関するモデル動物を用いた基礎検討
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16H00502
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐田 光 岡山大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | ビンカアルカロイド系薬剤 / アゾール系抗真菌薬 / 末梢神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
<目的> アゾール系薬剤は薬剤代謝酵素Cytochrome P-450 3A系を阻害することによって、ビンカアルカロイド系抗がん剤(vinca alkaloids ; 以下VA)の代謝を遅延させ、VAによる神経毒性を増強させる可能性が示唆されている。しかしながら、VAの神経毒性(末梢神経障害)とアゾール系薬剤との直接的な因果関係は示されておらず、その影響に関する基礎的検討はなされていない。本研究では、VAとアゾール系薬剤の併用による末梢神経障害の発現について明らかにすることを目的にVA誘発末梢神経障害(CIPN)モデル動物を用いて検討を行った。 <方法> Wistar系雄性ラットを用い、VAであるVincristine ; 以下VCR(0.01, 0.05, 0.1mg/kg, i. p.)を5日投薬2日休薬で2週間投与しCIPNモデルラットを作成した。疼痛行動はVon Freyフィラメントを用いて、機械的アロディニアに対する反応閾値として50%Paw Withdrawal Threshold(PWT)を算出した。また、アゾール系薬剤としてVoriconazole ; 以下VRCZ(30mg/kg, i. p.)を1日1回、2週間反復投与してVCR誘発CIPNに対する影響を評価した。 <成果> VCRを単独で投与した場合、von Frey testにおける機械的刺激に対する反応閾値は用量依存的に低下した。VRCZ(30mg/kg)を単独で2週間反復投与した場合、疼痛閾値に対する影響は認められなかった。VCR(0.01mg/kg)とVRCZ(30mg/kg)の併用群は、VCR(0.01mg/kg)投与群と比較して疼痛閾値に差は認められず、VCR誘発CIPNに対するVRCZの影響は確認できなかった。今後、ヒトとラット種差の影響を考慮しヒト肝ミクロソームを用いたin vitroでの検討を予定している。
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