2016 Fiscal Year Annual Research Report
主代謝物の脳移行制御を目指したパーキンソン病治療薬の個別化投与設計法の開発
Project/Area Number |
16H00506
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山本 譲 旭川医科大学, 薬剤部, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2016
|
Keywords | パーキンソン病 / L-dopa / 代謝物 |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : パーキンソン病治療薬の体内動態においては個人差が大きいことが報告されており、特に、L-dopa体内動態の差については、個体内変動のみで説明できない事象が多く見られる。L-dopaは代謝においてはカテコール-0-メチルトランスフェラーゼ(COMT)等により代謝を受ける。COMTによりL-dopaが代謝されると、3-O-メチルドパ(3-OMD)が代謝産物として生成される。3-OMDは、血液脳関門(BBB)においてL-ドパと脳への輸送が競合するため、COMT阻害薬によりL-dopaから3-OMDへの代謝を阻害することはL-dopaの脳移行性を改善するとされている。また、COMTについては遺伝子多型により酵素活性が変化することが報告されているが、神経変性疾患治療薬の分野においては、十分な研究が実施されておらず、特に代謝物に着目した報告はほとんど無い。よって本研究では、特に代謝に関与する遺伝子の多型とパーキンソン病治療薬の血中濃度との関連性を明らかにすることを目的とした。 ○研究方法 : パーキンソン病患者において、単独またはL-dopaとCOMT阻害薬を同時に服用し、服薬前と服薬後に経時的に静脈血を採取し、L-dopaおよび3-OMD血中濃度をHPLC-ECDにより測定した。同時に吸収・代謝に関与する酵素の遺伝子多型を調べた。本研究は旭川医科大学倫理委員会の承認を得て行った。 ○研究成果 : 本年度は新たに6例の血中濃度測定および遺伝子多型判定を行った。その結果、COMT阻害薬の投与による3-OMD血中濃度変化については、COMT遺伝子型の違いにより影響を受けることが強く示唆された。現在は症例数をさらに蓄積しており、他の遺伝子多型と体内動態・治療効果との関連について検討を進めているところである。
|