2016 Fiscal Year Annual Research Report
CHDF施行患者におけるドリペネムの母集団薬物動態解析
Project/Area Number |
16H00527
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
野々下 航 大分大学, 薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | ドリペネム / 母集団薬物動態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
集中治療を必要とする重症疾患患者では感染症を合併することが多く、エンピリカルな治療目的でドリペネムなどのカルバペネム系薬が頻用される。また、それらの患者では多臓器不全や急性腎障害を合併することが多く、持続血液濾過透析が(CHDF)がしばしば施行される。重症感染症患者における不適切な抗菌療法は予後不良に直結するため、ドリペネムを使用する際は薬物動態学的(Pharmacokinetic ; PK)/薬力学的(Pharmacodynamic ; PD)理論に基づいた投与設計を行なうことが重要である。しかしながら、CHDF施行患者にドリペネムを使用した際のPK/PD理論に基づいた最適な投与方法は明確に定まっていないのが現状である。そこで本研究では、集中治療部(ICU)におけるCHDF施行患者を対象として母集団薬物動態モデル(PPKモデル)を構築し、その有用性を評価することを目的とした。 集中治療部においてドリペネムが投与された患者のうちドリペネム投与開始時にCHDFを施行していた9症例を対象とした。測定はドリペネム投与前、投与後1、2、4、6、8時間後に採血を行ない、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行なった。その後得られたドリペネム血中濃度をもとにNonlinear Mixed Effect Model(NONMEM)を用いた母集団薬物動態解析を行なった。 得られたPPKモデルより算出した各PKパラメータの平均値は従来用いていたそれよりも全身クリアランスは低く、分布容積は高く算出される傾向が見られた。この結果は従来のPPKモデルよりも集中治療を要する重症疾患患者においてより精度の高いPKパラメータの予測が可能になったことが推察される。 今回は症例数が少なかったため、全てPPKモデル構築の対象としたが、今後得られたPPKモデルの有用性について検討する予定である。
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