2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規葉酸代謝拮抗薬における皮疹出現のリスク因子の解明と予防対策の検討
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16H00538
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
櫻田 巧 徳島大学, 病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | がん薬物療法 / ペメトレキセド / 副作用予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規葉酸代謝拮抗薬であるペメトレキセド(PEM)は肺癌や悪性胸膜中皮腫において主要な抗癌剤の一つであるが、PEM投与後に皮疹が高頻度に出現することが知られている。現在、皮疹予防として、デキサメタゾン(DEX)を1日8mg、3日間の高用量のステロイド投与が推奨されているが、高用量のステロイドは高血糖や精神障害など短期間でも様々な副作用を発現する。これまで皮疹発現のリスク因子や、ステロイドの予防効果を統計的に証明した報告はない。そこで、当院呼吸器・膠原病内科において2009年4月から2014年3月までの間に初回PEM治療が施行された患者を対象としてレトロスペクティブに調査を行った。対象患者134名中32名(23.9%)に皮疹が出現していた。皮疹予防効果を示すPEM投与後2日目、3日目(day2-3)のDEX量のカットオフ値は1.5mg/日であり、Day2-3に1.5mg/日以上のDEXが投与された患者では皮疹出現率が有意に減少していた(17.8% vs. 39.4%)。また、day2-3に1.5mg/日以上6mg/日未満のDEXが投与された患者と6mg/日以上の高用量のDEXが投与された患者の皮疹出現率は、それぞれ17.1%、16.7%と投与量依存のステロイドの皮疹予防効果は認めなかった。また、PEMの皮疹出現に関与する因子を検討した結果、患者背景などの関与は認められなかったが、皮疹が出現した患者群では好中球減少症の発現率が高いことが見出された。 PEMによる皮疹の発現頻度は高いものの皮疹が出現しやすい患者を予測することは難しいため、PEM投与時には皮疹予防目的にステロイドの追加投与を検討する必要がある。その投与量として、day2-3に1.5mg/日以上が必要であるが、現在推奨されているほどの高用量は必要ないことが示唆された。
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Research Products
(1 results)