2016 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤連日投与レジメンにおける適正なアプレピタント投与期間の探索
Project/Area Number |
16H00541
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
下田 浩欣 岐阜大学医学部附属病院, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 抗がん剤治療 / 制吐対策 / 費用対効果分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法における悪心・嘔吐は、頻発する副作用のひとつである。 各種ガイドラインで制吐対策が明示されたこと等により、悪心・嘔吐の制御はかなり改善されているが、ガイドラインに記載されている制吐対策は薬剤の催吐性リスクにより分類されており、連日抗がん剤が投与される場合の制吐対策は明示されていない。頭頸部癌等に用いられるシスプラチン(CDDP)、5-フルオロウラシル併用(CF)療法及び精巣癌に用いられるブレオマイシン、エトポシド、CDDP併用(BEP)療法は、高度催吐性リスクに分類され、推奨されるセロトニン受容体拮抗薬、デキサメタゾンおよびアプレピタント(APR)の3剤併用療法を行った場合でも、制吐不良の患者が多い連日投与レジメンである。 そこで、本研究ではこれらのレジメンを対象として適正な制吐対策を明らかにするとともに、諸外国において薬剤承認の際に導入されている費用対効果分析を今回用いた制吐対策に対して行って費用対効果について評価した。 CF, BEP療法ともに、CDDP投与終了後の遅発期(CF療法 : 2-7日目、BEP療法 : 6-9日目)に制吐不良な患者が認められた。Complete protection(悪心、嘔吐、レスキュー薬なし)はともにAPRの投与延長(CF療法 : 5日間、BEP療法 : 7日間)した場合に、標準制吐対策と比較して有意な改善が認められた(CF : 54% v. s20%、BEP : 54% v. s 0%)。またAPRの投与延長について年間2万ポンド(約500万円)を基準値として、QOLを算出し費用対効果分析を行ったところ、CF療法、BEP療法のいずれにおいてもAPRの追加投与は費用対効果に優れていた。 本結果よりCF, BEP療法においてはAPRの投与延長は、費用対効果にも優れており制吐対策の適正化につながることが明らかになった。 現在他のレジメンについても同様に検討を行っている。
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