2016 Fiscal Year Annual Research Report
ICUにおける「せん妄」発現予防に貢献するための評価ツールの構築
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16H00543
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田坂 健 岡山大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 集中治療室 / せん妄 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療現場において手術後に発症する「せん妄」は問題である。特に、集中治療室(ICU)においては、「せん妄」は人工呼吸器の装着期間を延長させ、ICU滞在日数を長引かせることで人工呼吸器関連肺炎を初めとする合併症を引き起こし、結果的に死亡率の増加を招く。そこで、まず手術後にせん妄を発症した患者に着目し、せん妄リスクの評価項目の抽出を行った。 1. せん妄リスク評価項目の抽出 せん妄発症の高リスク群として以下の要因が考えられた。 術後早期患者、せん妄発症の既往歴、ベンゾジアゼピン受容体作動薬服用、エチゾラム服用が発症リスクを有意にあげる要因であった。また、70歳以上の高齢、頭部疾患の既往、せん妄の既往、記録力の低下、アルコール多飲の因子のうち、因子数を多く有する患者はせん妄発症リスクが上がることも明らかとなった。 2. 「せん妄評価シート」の作成 これら因子を基に、年齢、性別、各種既往歴(脳血管疾患、認知症、脳梗塞等)をハイリスク因子(高得点)とし評価シートを作成した。評価シートの有用性については、当院ICUでせん妄を発症した15名を対象に後ろ向きにチェックした。また、対照群としてはせん妄発症していない患者を無作為に15名選択した。その結果、せん妄発症群は5.5点/26満点であり、対照群(2.2点/26満点)と比較して有意に得点が高かった。つまり、評価シートはせん妄発症の予測シートとして有用である可能性が示唆された。 3. 「せん妄リスク評価シート」の運用・評価 現在、前向き調査として本評価シートを使用している。しかしながら、ICUでのせん妄発症者が現時点では認められておらず、さらに研究を進めて、評価シートの有用性を検討していく。
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