2016 Fiscal Year Annual Research Report
腎機能に応じたガンシクロビル副作用発現に関する調査と適切な投与設計への応用
Project/Area Number |
16H00550
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮本 仁 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2016
|
Keywords | ガンシクロビル / 腎機能 / 副作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】臓器移植患者をはじめとするサイトメガロウイルス(CMV)感染の第一選択薬として使用される薬剤にガンシクロビル(GCV)がある。GCVは尿中未変化体排泄率が高く、重篤な副作用として血小板減少をはじめとする骨髄抑制があるため、腎機能に応じた減量を必要とし、添付文書にも明記されている。しかし、現在添付文書上で設定されている用量調節をした患者で副作用が出現するケースは少なくない。そのため添付文書の用量設定が適切か検証するために、本研究では千葉大学医学部附属病院(以下、当院)において投与量と副作用の関連を明確にし、適切な投与量の目安を設定することを目的とした。 【方法】当院入院中にGCVを投与された患者を対象とした。投与量について、添付文書で設定されている体重当たりの投与量と実投与量を比較し、その比(実投与量/理想投与量)を投与量乖離比として定義した。各患者の治療効果や副作用については各種検査データやカルテ情報などから調査を行い、効果に関しては造血細胞移植ガイドライン(CMV感染症)を参考に判定し、副作用(血小板減少、腎機能低下等)に関しては有害事象共通用語規準v4.0(CTCAE v4.0)によりグレード分類した。その後、腎機能に応じて投与量乖離比と効果、副作用の関連性を解析し評価した。 【結果】対象患者は194名であった。GCV投与量乖離比の全体の平均は1.06±0.67であったが、腎機能低下患者の方で投与量乖離比が大きくなる傾向がみられた。GCV投与前後で腎障害、血小板減少、白血球数減少の出現した患者はそれぞれ、4.6%、16.0%、24.7%であった。また、血小板減少、白血球数減少に関しては腎機能が低下している患者ほど出現する傾向がみられた。このことから腎機能の悪化がみられる患者に対しては添付文書で推奨されている投与量であっても慎重に副作用モニタリングをすべきであると考えられた。現在引き続き腎機能に応じた投与量乖離比と効果、副作用の関連性について解析を進めている。
|