2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H00556
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Research Institution | 大阪府警察本部刑事部 科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
鎌田 徹 大阪府警察本部刑事部 科学捜査研究所, 研究員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 薬物乱用 / 画像化質量分析 / 毛髪中薬物鑑定 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 研究代表者は平成23年10月より、頭髪縦断面に画像化質量分析を適用し、薬物の分布を画像化することで、毛髪分析の信頼性と使用歴推定の精度を高めることを目的として、研究を行っている。これまでに、モデル薬物メトキシフェナミン(OTC医薬品)を単回摂取したボランティアの頭髪を継続して採取し、その縦断面におけるメトキシフェナミン分布が、摂取から採取までの時間が延びるにしたがって毛根側から毛先側に移動する状況を可視化することに成功し、毛髪への薬物取り込み部位が複数あるとの新知見を得ている。 本研究では、薬物使用歴推定をさらに高精度化するため、対象薬物を拡大し、薬物の違いによる摂取者毛髪中薬物分布の変化を観察することを目的とした。 研究方法 本研究では、 1メトキシフェナミンとは別種の医薬品の摂取者の頭髪を、抜去あるいは切除により採取する。 2採取した頭髪試料について、ミクロトームで縦断した後、断面にマトリックスを塗布し、飛行時間型タンデム質量分析装置により、画像化質量分析を行う。 3摂取条件、可視化された頭髪中薬物分布及び頭髪の成長速度との相関を詳細に検討し、より高度な使用歴推定技術の確立を目指す。 という方法で研究を進めた。 研究成果 ノスカピン20mgあるいはマレイン酸カルビノキサミン4mgを単回摂取したボランティアから抜去により採取した頭髪試料について、縦断面の画像化質量分析を行ったところ、いずれの薬物についても分布の画像化に至らなかった。これは、頭髪への取り込み量が画像化質量分析の検出限界未満であったためと考えられ、他の分析手法を適用した結果からもそれが裏付けられた。一方、摂取状況が不明であったメタンフェタミン摂取者から切除により採取した頭髪試料については画像が得られ、メタンフェタミンとメトキシフェナミンの化学構造の類似性から、両薬物は同様の分布を示すことが推定された。
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Research Products
(1 results)