2016 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤曝露防止のための閉鎖式システムの活用および手順遵守による効果の検討
Project/Area Number |
16H00583
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中嶋 一惠 九州大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 抗がん剤曝露 / 抗がん剤投与 / 閉鎖式薬物移送システム |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】がん化学療法に従事する医療従事者は、抗がん剤への経皮接触や気化した薬剤の吸入により健康障害を発症する恐れがある。腫瘍関連3学会により2015年に刊行された「がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン」(以下、ガイドライン)では、抗がん剤の薬剤師調製から看護師投与に至るまで閉鎖式薬物移送システム(以下、CSTD)の使用を推奨している。九州大学病院では調製はCSTD導入済みであるが、投与においてCSTD操作手順の煩雑さや医療コスト増加のため未導入である。そこで本研究では、外来化学療法室の看護師と連携し手順の確立および看護師指導を行うと共に、CSTD導入による抗がん剤曝露防止効果の定量的評価を目的とした。 【方法】汎用レジメン「ゲムシタビン/人血清アルブミン添加バクリタキセル(GEM/nab-PAC)」を対象とし、CSTD導入前後における点滴付替エリアの抗がん剤曝露量を定量した。CSTDはファシール^<TM>スパイクセット(日本BD社)を使用した。「投与管理手順書」をガイドラインに準拠し作成後、これを遵守した上でブライミング手順を明確にした「CSTDマニュアル」を当院独自で作成し、看護師に実技指導を行った。薬物の定量はシオノギ分析センターに委託した。 【成果】CSTD導入前、「投与管理手順」遵守により曝露量はGEMで87%、nab-PACで61%減少した。遵守した場合でもGEMおよびnab-PACともに1処方あたり130-160ng程度定量された。一方CSTD導入後、両薬剤ともに検出限界以下となった。これらの結果より、「投与管理手順」遵守と併せてCSTD導入は抗がん剤の曝露防止に有用であることが示唆された。また、今回作成した「CSTDマニュアル」を用いて円滑にCSTD導入が可能であったことから、今後これを活用することで院内における抗がん剤曝露防止の標準化推進につながることが期待できる。本研究の成果は、多くの施設でも参考となり応用できることから、安全ながん化学療法の推進に貢献するものと考える。
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Research Products
(1 results)