2016 Fiscal Year Annual Research Report
がん遺伝子Zfp57を起点とした、細胞がん化に係る遺伝子の探索と機能検証
Project/Area Number |
16H00587
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
池上 貴子 順天堂大学, 研究基盤センター 共同研究・研修室(Ⅰ), 技術員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | がん遺伝子 / Zfp57 / DNAアレイ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から遺伝子Zfp57ががんの増殖や転移に関わる可能性を見出してきた。そこで本研究ではがん細胞におけるZfp57の下流遺伝子を同定することにより、Zfp57によるがん細胞制御の分子機構の解明を目指した。 まずはZfp57の発現を抑制する人工miRNAの発現ベクターを作製し、ヒト線維肉腫由来のがん細胞株HT1080に導入することによって、Zfp57遺伝子の発現抑制(ノックダウン)を行う系を樹立した。Zfp57の発現が抑制されていることはリアルタイムPCRを用いて確認した。次にDNAアレイ解析を行い、コントロールのHT1080細胞と比較してZfp57遺伝子のノックダウンによって発現量が変化する遺伝子を探索した。さらに、発現量に変動があった遺伝子のうちのいくつかの遺伝子についてはリアルタイムPCRによってその確認を行った。その結果、Zfp57の下流候補遺伝子としてGrxcr2(Glutaredoxin and cysteine richdomain containing 2)、Ecm2(Extracellular matrix protein 2)、Pi3(Peptidase inhibitor 3)、Prrx2(Pairedrelated homeobox 2)の4遺伝子を同定した。 これに加えて、DNAアレイ解析において発現量の変動が認められた遺伝子群についてGene Ontology解析を行い、Zfp57下流遺伝子の特性を調べた。その結果、Zfp57ノックダウンによって神経芽細胞や幹細胞の増殖に関わる遺伝子が高頻度に抑制されていることが明らかとなった。これらの結果から、Zfp57は増殖に関連する遺伝子の発現制御を介してがん細胞の制御を行っている可能性が示唆された。
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