2016 Fiscal Year Annual Research Report
線虫における蛍光法を使ったミトコンドリアを中心とする個体差解析の開発
Project/Area Number |
16H00597
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
安田 佳代 東海大学, 生命科学統合支援センター, 技術職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 老化 / C. elegans / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
老化には遺伝子と環境が複雑に関与しているため、その原因を特定することは難しい。線虫の一種であるCaenorhabditis elegans(C. elegans)は雌雄同体であるため、遺伝学的にも環境的にも均一であるにも関わらず寿命に大きな個体差が現れる。この個体差を加味する寿命測定のシステムを構築するために、GFPをモニタリングすることで個体差が見られると考えた。筋肉と脂肪が老化や健康に深く関与していることが示唆されるようになったことから、線虫の筋肉構造に関わる遺伝子に蛍光遺伝子(GFP)を結合させ、蛍光強度を個体差の指標とした。また、筋肉や脂肪の代謝にはミトコンドリアが関与しており、細胞小器官であるミトコンドリアの機能も関与していることから、ミトコンドリアにも着目した。 本研究目的に適したGFPが結合されたTG線虫として、筋肉で発現しているミオシンにミトコンドリア移行シグナルとGFPが結合されたSJ4130株を用い、さらに個体差を顕著にするために酸化ストレスや脂質代謝に関与しているmxl-3変異体との二重変異体を作成した。次に作成した変異体のミトコンドリアの形状に差異があるかどうかを共焦点顕微鏡で確認した。酸化ストレスなどでミトコンドリアの断片化がみられることから、mxl-3との二重変異体でも断片化が見られるのではないかと予測したが、顕著な差は認められなかった。酸化ストレスを負荷しても同様であった。今回の検討では蛍光強度との相関まで行えなかったが、今後は蛍光強度によるミトコンドリアの形態の変化を今後行う予定である。しかしながら、ミトコンドリアの観察においては30分以上の麻酔下で構造異常が認められたことから、共焦点の観察における線虫の麻酔条件を検討していく必要がある。次に、GFP抗体を用いて蛍光強度とタンパク質の発現量の相関の確認を行った。蛍光強度が強い群と弱い群を顕微鏡下で20匹ずつ採材し、GFP抗体を用いてWestern blotを行ったが、強い群では発現が弱い群より4倍ほど高い結果となった。個体差がたんぱく質レベルでも確実なものであることから、線虫ソーターで選別を行い寿命と相関を明らかにするこのシステムは、個体差の原因を探る端緒となることが期待される。
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