2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H00602
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 潤子 東京大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 心臓移植 / 抗HLA抗体 / 抗体関連拒絶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、心臓移植における抗HLA抗体の意義をより明確にするために、検査法の相違による抗体検出の特徴を把握するとともに、生着や予後に重要とされる抗HLA抗体の特徴(DSA(donor specific antibody : ドナー特異的抗体)の有無、抗体の力価、既存および産生抗体(de novo抗体)等)を解明することを目的とした。 当院の心臓移植症例67例を対象に、高感度HLA抗体検査法 : Beads based array assay(Luminex法)により測定した抗体陽性率は22.4%(15症例)であった。3法の検査法を用いたが結果の解離例が4症例存在し、複数の方法で慎重に解釈する必要があることが示唆された。抗体陽性の場合、ドナーHLA型によりDSAの有無を確認し、抗体の力価を示す「MFI値」により抗体価の推移を解析した。class I DSA保有は3例(4.5%)、class II DSA保有は1例(1.5%)、MFI値10000以上の高値が3例(4.5%)認められた。de novo抗体は移植後1~2ヶ月での出現が4例(6.0%)、21~40ヶ月での出現が3例(4.5%)であった。このように、予後に影響する因子とされるDSA、MFI高値、de novo抗体出現症例が認められたものの、移植後10年までの経過観察で明らかな抗体関連拒絶、また生着を妨げる症例は認められなかった。また、既存抗体が高力価(10000以上)であるため血漿交換施行後に移植を実施した1症例のMFI値の推移をみると、半年後も抗体は持続し、特にclass II抗体は高力価で残存していた。血漿交換によるHLA抗体除去効果についてさらなる解析が必要である。 今後はさらに症例数を重ね、移植後の病態や治療効果判定マーカーとして他の指標とされる心機能および組織学的検査、免疫抑制剤投与との関連を体系的に検討する予定である。
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Research Products
(1 results)