2016 Fiscal Year Annual Research Report
免疫グロブリンIgA結合型扁平上皮癌関連抗原の測定法の構築
Project/Area Number |
16H00608
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 恵理子 東京大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 扁平上皮癌関連抗原 / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍マーカーである扁平上皮癌関連抗原(SCCA)は, 免疫グロブリンとの結合により高分子化したSCCAの存在が報告されており, 測定試薬により値が乖離することが知られる. 当院において, 免疫グロブリンIgAとSCCAとの結合が疑われる症例を経験した. 免疫グロブリン結合型SCCAに関してはIgG及びIgMについて報告があるが, IgA結合型SCCAに関しては既知の報告はなく, IgA結合型SCCAを直接検出する測定法がないためこれまで見過ごされてきた可能性が考えられた. そこでIgA結合型SCCAの測定系を構築することで, 新たなバイオマーカーとしてIgA結合型SCCAの可能性を模索することを目的とした. 抗SCCA抗体と抗ヒトIgA抗体によるサンドイッチELISA法を原理としたIgA結合型SCCAの測定系を構築するため, マイクロプレートに抗SCCA抗体を固相化し, 血清と反応させた. 洗浄の後, 二次抗体として標識した抗ヒトIgA抗体を添加し, 対応する基質の吸光度を測定した. 被検血清は, 異なる測定試薬間でのSCCA測定値に差がなく, 血清に抗ヒトIgA抗体添加後のSCCA測定値が添加前と比較し変化しなかったものを陰性検体として使用した. また, 被検血清を段階希釈し希釈直線性を調べた. 血清中の蛋白による非特異的な反応を認めたため, エピトープの異なる複数の抗体を検討し, さらに抗SCCA抗体を固相化していないウェルと固相化したウェルでの吸光度の差からIgA結合型SCCAの検出を試みた. その結果, 陽性検体では陰性検体と比較し吸光度が高く, 希釈直線性を認めた. 陰性検体の多くが陽性検体に比べ低い吸光度を示したが, 陰性検体の中にも陽性検体と変わらない高い吸光度、希釈直線性を認めた検体が存在した. 血清中の物質による非特異的な反応の影響を取り除くことができず, IgA結合型SCCAを検出する系としては不完全であり, さらなる改善が必要と思われる.
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Research Products
(1 results)