2016 Fiscal Year Annual Research Report
非放射性試薬による消化管のナトリウム依存性グルコース輸送体活性測定法の開発
Project/Area Number |
16H00611
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
齊藤 久美子 生理学研究所, 技術課, 技術職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | α-メチルグルコシド / 糖代謝 / ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT) |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満・糖尿病の発症過程を調べるために各臓器の糖・脂質代謝変化を測定することは、肥満・糖尿病の発症メカニズム、治療法、治療薬の開発に重要である。各臓器及び細胞における糖・脂質代謝速度を測定するためには、放射性化合物(RI)が用いられるが、その利用には、多くの制約があるため、非RI試薬を用いた糖・脂質代謝測定法の開発に取組んでいる。現在は、非放射性α-メチルグルコシド(AMG)を用いたナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)を介したグルコース取り込み測定法の開発を行なっている。 AMGは、SGLTを介して選択的に細胞内に取込まれるが、代謝されず細胞内に蓄積することから、蓄積したAMG量を測定することでSGLT活性を測定する。AMGの定量は、酵素によりAMGをグルコースに変換、先に開発した酵素法(Analytical Biochemistry(412)p9-17 (2011))を用いて、変換したグルコースを定量する(特願2016-094724)。昨年は、SGLTを過剰発現させて糖取込み作用を高めた培養細胞(腎臓由来HEK293細胞)を用いて、本法によりAMGの取込みとSGLT阻害剤(Phloridzin)投与による効果を測定した。 本年は、in vivo実験への利用を検討した。マウス小腸より粘膜細胞を単離した。単離細胞と予め熱処理した細胞に、AMGとスクロースを各々添加し1時間作用させた。細胞液中のAMG量、スクロース量を測定した。スクロースは、単離細胞に作用させるとスクロース量の減少が見られたが、AMG量は、大きな減少が見られなかったことから、消化管酵素で分解されにくいことを確認した。次にAMGを経口よりマウスに投与し、小腸上皮細胞に取り込まれたAMG量を測定した。マウス経口よりAMGを投与し、一定時間後に消化管を採取した。消化管は、開菅して十分に洗い、細胞外グルコース、二糖類を除いた後、腸管上皮細胞を回収、細胞内に取り込まれたAMG量を本法で測定した。培養細胞と同様に、組織においても細胞溶液を希釈し、さらにアルカリ熱処理を行うことで、内因性のグルコース、グルコース6リン酸の影響を除去した。マウス経口より投与したAMGは、消化管酵素により分解されることなく、採取した小腸粘膜において、取り込まれたAMG量を測定することができた。 今後は、マウスの食餌の違い(絶食、普通食、高脂肪食)による糖取り込みを測定し、食餌由来の消化管における消化吸収の違いを調べたい。
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Research Products
(2 results)