2016 Fiscal Year Annual Research Report
小児急性骨髄性白血病の予後不良群を同定する新規エピジェネティック診断法の確立
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16H00615
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
建部 泰尚 岡山大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / DNAメチル化 / アザシチジン |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】小児難治性疾患である悪性腫瘍のうち白血病が最も多く、本研究対象の急性骨髄性白血病(AML)は約25%を占める。近年、染色体異常やそれに伴う遺伝子異常により予後を層別化して行う化学療法と造血幹細胞移植により予後は改善したが、一方で一部の再発・初発時治療抵抗例は予後不良であり、さらなる予後不良例の同定方法・代替治療の早期開発が望まれる。小児AMLでは、DNAプロモーター領域のメチル化によってがん抑制遺伝子の発現抑制されていることが報告されているが、その検討は十分ではない。そこで、本研究では小児AMLの予後不良群の同定するマーカーとして、また脱メチル化薬であるアザシチジンの奏効性を判断するコンパニオン診断マーカーとしてDNAメチル化が有用ではないのかと仮説をたて、その有用性について検討した。 【研究方法】岡山大学病院小児科でAMLと診断された患児の初発期、寛解期、再発期それぞれから採取した骨髄よりQIAamp DNA mini kit(Qiagen社)を用いてDNAを抽出した。メチル化陽性コントロールとしてはHela細胞、陰性コントロールとしては健常小児DNAを用いた。25種類のがん抑制遺伝子中のメチル化を検出するMS-MLPA用プローブ(MRC-Holland社)を用いてPCRによって増幅後、シークエンサーにて検出を行った。さらに培養細胞とAML初代培養細胞を用いてMTSアッセイによってアザシチジンの抗腫瘍効果を検討し、リアルタイムPCRによって妥当性を検証した。 【研究成果】小児AML患者21人の初発期検体よりCDKN2B, CADM1, TP73, CDH13, ESR1, APCのメチル化が検出された。一方で寛解期には全例メチル化は検出されなかった。21人中9人が再発していたが、再発期でメチル化が認められた遺伝子はCDKN2B, CADM1, ESR1, FHITであった。再発期に検出された4遺伝子のメチル化は治療抵抗性、あるいは再発に関与している可能性があり、予後不良マーカーとなる可能性が示唆された。これまでに我々はアザシチジンがAML細胞株に対して抗腫瘍活性を示し、DNA脱メチル化を引き起こすことを確認している。その再現性を確認した後、患者より得られるAML初代培養細胞で同様に得られるか評価しようと試みた。しかし、細胞の精製、腫瘍細胞数などの問題により系を確立するに至らなかった。
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