2016 Fiscal Year Annual Research Report
動物実験施設内のマウス飼育室における各種環境因子とマウス腸内細菌叢解析の試み
Project/Area Number |
16H00616
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 直子 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 技術専門職員
|
Project Period (FY) |
2016
|
Keywords | マウス / 飼育環境因子 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 近年、種々の研究で、腸内細菌叢の変動が実験動物の生理機能の変化の重要な要因として関与している可能性が示唆されているが、大学に附属する動物実験施設で飼育されている実験動物の腸内細菌叢の構成は詳細に把握されていない。今回、熊本大学生命資源研究・支援センター動物資源開発研究施設(CARD)内の飼育室内の環境因子を測定し、動物生産施設由来マウスCARD導入直後ならびに、3ヶ月間飼育後の腸内細菌叢の解析をおこない、飼育室間で菌種の差異あるいは量的な差や変化が認められるのか、また、飼育室環境因子とマウスの腸内細菌叢間に何らかの関係が見いだされるか検討するための基本的データを収集し、各種マウスの腸内細菌叢の解析を自家検査で進めるための基本的データとすることを意図した。 研究方法 1. 異なったタイプの飼育装置が導入されているCARD内の2つの飼育室を対象に、自家検査と外部委託の検査により、温湿度等の基本的な環境因子の測定をおこなう。2. 腸内細菌叢解析 : 動物生産施設より導入したICR、SPF、4週齢、雌マウス(検査対象マウス)を1にて環境因子の測定をおこなった飼育室へ導入し、飼育室で飼育されている全てのケージから糞を集め、検査対象マウス飼育ケージに混和しながら3ヶ月間飼育した後、導入前後の腸内細菌叢解析結果を比較検討する。 研究成果 1. アダルト、5匹のマウスを収容したケージ交換直前のケージ内を対象に10項目を対象に行ったところ、アンモニア濃度がA室で77ppm、B室では8.3ppmと差がみられたが、メチルメルカプタンなどその他の項目には大きな差がなかった。A室、B室における騒音は、それぞれ平均47.2、64.5dBで飼育装置の違いによる差が見られた。振動は、40~50dBで飼育装置のファンの有無の影響はみられなかった。照度は、どちらの飼育室も棚上部前面で633~720Lxと高値であったが、棚上部奥は28~35Lxと下がり、棚下部前面は152~183Lx、棚下部奥は15~18Lxであった。2. 動物生産施設より導入したICRマウスを1にて環境因子の測定をおこなった2室へ導入し、3ヶ月間飼育し、飼育室導入前と3ヶ月飼育後に腸内細菌叢解析をおこなったが、飼育室導入前後の腸内細菌叢構成では個体レベルでの変化が見られた個体があったものの、同じ動物実験施設内の異なる飼育室間レベルでは、腸内細菌叢構成の明確な差を見いだすことができなかった。
|