2016 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚角質層表面の真の微細形態をめざして! イオン液体を用いた走査電顕観察法の確立
Project/Area Number |
16H00620
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森野 慎一 名古屋大学, 全学技術センター(工学), 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 走査型電子顕微鏡 / イオン液体 / 皮膚角質層表面 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】生体試料を走査電顕で観察を行うには、通常長時間の前処理を行わなければならず、従来から代替となる観察法が模索されている。近年、イオン液体を用いた新たな走査電顕観察法が注目され、同液体による観察を実施した結果、「金属蒸着無しで導電性が得られる」など生体試料の観察において良好な結果を得ている。一方、イオン液体は真空中で気化せず、試料表面に同液体が残留して微細形態観察における問題が確認されている。本研究では、技術的改良により同液体の残留問題を解決し、イオン液体による走査電顕観察法の確立と皮膚角質層表面の真の微細形態の観察を目的としている。 【研究方法】固定した皮膚組織を細切して研究試料にした。細胞への影響が指摘されているフッ素を含まないアンモニウム系(1種類)及びイミダゾリウム系(2種類)のイオン液体を準備した。(1)各イオン液体原液に試料を1h浸漬(2)各イオン液体濃度を蒸留水で様々な濃度にして試料を1h浸漬(3)各イオン液体濃度をEtOHで各濃度にして試料を1h浸漬(4)試料に付着するイオン液体をキムワイプで除去(5)光学実体顕微鏡及び走査電顕による皮膚角質層表面形態の観察(6)結果検証の順で研究を行った。なお、試料の取り扱い及び走査電顕観察は鳥取大学医学部にて実施した。 【研究成果】3種類のイオン液体のうち皮膚組織の観察には、イミダゾリウム系の「1-ブチル-3メチルイミダゾリウムエチルスルファート」が適していた。濃度は試料表面の残留具合及び形態維持の点からEtOHで60%調整したものが最適であった。しかし、イオン液体の残留問題の完全解決には至らず、さらにEtOHを含ませたキムワイプを試料表面に覆い同液体の除去を試みた。結果、試料表面に残留するイオン液体はかなり除法され、皮膚角質層表面の微細形態観察が可能になった。ただ完全とは言えず技術的改良の余地が残された。
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