2016 Fiscal Year Annual Research Report
High-definition経頭蓋直流電気刺激による認知機能調節効果の検証
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16H00631
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Research Institution | 千葉大学大学院医学研究院 認知行動生理学 |
Principal Investigator |
石井 大典 千葉大学大学院医学研究院 認知行動生理学, 認知行動生理学, 技術補佐員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 経頭蓋直流電気刺激 / 認知機能 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症は幻覚、妄想などの陽性症状と感情鈍麻、自発性の低下などの陰性症状、さらに作業記憶の障害などの認知機能障害を呈する疾患である。本研究は、臨床応用可能なヒトの認知機能、特に作業記憶を修飾するシステムを開発し、関連疾患の新規治療法の開発に貢献することを目的に実施した。 近年、認知機能を修飾する方法として、tDCS法は副作用が少なく、安価で持ち運びが容易な点で注目を集めている。しかしながら、従来のtDCS法は、用いる電極の大きさ(約5 cm×7 cm)から作用局在が不明確なことやその効果が不安定な点が指摘されている。本研究では、より局所的に直流電気刺激を与えられるHigh Definition-tDCS法(HD-tDCS)を用いてその認知機能修飾効果を検証した。 その結果、HD-tDCS(陽極刺激)を受けることで作業記憶課題の正答率は向上傾向にあった(p=0.06)。また、課題の反応時間もHD-tDCS(陽極刺激)を受けることで減少した(p=0.05)。これらの結果より、脳への直流電気刺激(HD-tDCS)が認知機能(作業記憶)を修飾する可能性が示された。本研究は副作用が少なく安価な装置でヒトの認知機能を修飾する方法を探索する研究であり、臨床応用の観点から大変意義があるものと考えられる。また、今後はHD-tDCS(陽極刺激)による認知機能の修飾作用を神経活動の変化から捉える必要がある。
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Research Products
(2 results)