2016 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析装置バイテックMS測定における抗酸菌前処理の検証と同定精度の向上化
Project/Area Number |
16H00650
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
渡 智久 旭川医科大学病院, 臨床検査・輸血部, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 抗酸菌同定 / MALDI-TOFMS / バイテックMS |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年後期にシスメックスビオメリュー社から抗酸菌用前処理キットが販売された。キットの組成は我々が開発途中であった前処理法とほぼ同様であるが、ジルコニアビーズではなく、ガラスビーズであった。同定成績を標準菌株9株、臨床分離株80株に対して検証した。前培養に用いたMiddlebrook7H11と小川培地ごとの同定率は、標準菌株はそれぞれ100%であった。同じく、臨床分離株は全体では90.0%(72/80)と91.3%(73/80)、M. bovisBCGは両培地で100%(2/2)、M. aviumが100%(30/30)と96.7%(29/30)、M. intracellulareは87.5%(14/16)と100%(6/16)であった。さらに、M. kansasiiは両培地とも100%(6/6)、M. gordonaeも両培地ともに80%(8/10)、M. abscessusが75%(3/4)と100%(4/4)、M. kansasii/M. gastriは両培地ともに100%(9/9)であった。Tapman法でM. lentiflavumがM. intracellulareに誤同定を示した2株は正しく同定できた。また、前処理後M. bovisBCGは、小川培地8週間、MGIT培地6週間の培養で菌の発育陰性で菌の死菌化を確認した。本前処理法は同定率が高く、簡便なことから日常検査での有用性が示された。 DDHでM. scroflaceumとなった3株は同定不能となった。しかし、本検討で標準菌株の測定では同定できたことから、DDHの誤同定の可能性がある。この3株はrpoB、hsp65、16SrRNA遺伝子の塩基配列を決定し、BLAST解析したが菌名を明らかにできなかった。よって、本研究で菌名を確定できなかったが、今後追加試験で他の遺伝子も解析し、VMSデータベースの登録、同定性能の向上を確認する。
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