2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H00666
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
叶内 和範 山形大学, 医学部附属病院, 主任臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 活性化部分トロンボプラスチン時間 / ループスアンチコアグラント / 血液凝固波形解析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
凝固波形の解析は2013年にAPTTの凝固反応過程で生じる凝固波形から血友病の疾患において異常な波形が生じることが発見されたことでAPTTによる血友病の診断及びその重症判定が可能であることが示唆されて近年、注目されている検査法である。この波形解析法は患者血漿中にCaを一定量添加することによって得られる凝固反応の開始から最終産物であるフィブリンが形成されるまでの過程で得られる光の透過性量が変化することを利用して経時的変化量を描出したのが血液凝固波形とされている。この吸光度波形をさらに一定時間当たりの2点間を一次微分することで凝固の速度を導き出すことができる。得られた1stの凝固波形をさらに二次微分することで凝固の加速度を導き出すことができる。これらの波形の中にAtypical peakで示すような停滞した特徴的な波形異常と2stの最大ピークから最小ピークまでの時間が正常と比較して延長している症例がAPTTの延長例に多く認められた点に着目し、血液凝固波形解析法を用いることで血友病や凝固因子低下症、ループスアンチコアグラント(LA)などの病態を鑑別することができるのではないかと着想した。2015年度症例研究(課題番号15H00612)、2016年(16H00666)に採用され研究を開始した。①凝固波形の統計解析を行い、定量化を行った。2stの加速開始点から最大ピークまでの時間と最大ピークから最小ピークまでの時間をもとにした(B/C ratio)を考案し、LA陽性例患者群における血液凝固波形解析法の感度、特異度はそれぞれ86.1%、85.4%であり、APTT法に比べてLA判定の有用性が高い結果であった。②波形解析法によるLAと他の凝固異常症である(warfarin内服やヘパリン投与患者、凝固因子欠乏や血友病A, B)との識別は可能であった。③波形異常のメカニズムは血液凝固因子活性値と関連があり、第Ⅷ、Ⅸ因子が10%を下回る血漿で波形異常出現が出現することが明らかになった。LAに関連のあるリン脂質抗体の一種であるaPS/PT抗体を正常血漿に希釈添加して凝固因子活性値を測定すると第Ⅷ、Ⅸ因子値がaPS/PT抗体濃度に依存して低値を示し、APTTの延長と波形異常が出現したことから関連性が示唆された。
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Research Products
(2 results)