2016 Fiscal Year Annual Research Report
各種炎症性疾患患者における高比重リポタンパク(HDL)の構造変化の解析
Project/Area Number |
16H00670
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
島野 志都子 東京医科歯科大学, 医学部附属病院検査部, 主任臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | HDL / SAA / apoA-I |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】炎症性疾患患者の血液中には、肝臓から分泌された血清アミロイドA(Serum Amyloid A : SAA)が高濃度に存在し、90%以上が高比重リポ蛋白(HDL)の構成アポ蛋白として存在している。さらにSAAがHDLに取り込まれる際、HDLの抗動脈硬化作用の中心を担っているapoA-Iが離脱することが知られている。従って、SAA濃度が健常者の数百倍にも増加する炎症性疾患においては、分泌されたSAAはHDLの構造や機能に何らかの影響を与えていることが推測されるが、炎症の種類や時期によってHDLにどのような変化が認められるか詳細に解析された報告はない。したがって、各種炎症性疾患患者におけるHDLの構造変化を解析し、粥状動脈硬化形成の前段階でもある炎症とHDLの関連を明らかにすることを目的とし研究を行った。 【方法】本学医学部倫理審査委員会で承認を受けた計画に基づき、炎症の程度(SAAの測定値)の異なる患者の検査終了後の残血漿検体を対象とした。超遠心を用いて血漿からHDLを回収し、Native-PAGEで分離、CBB染色およびapoA-I抗体、SAA抗体によるウエスタンブロッティング法を実施し、各粒子サイズのHDLにおけるSAAの分布について解析した。また, 分子排除カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにて各HDLの粒子サイズを評価した。 【結果】本研究により炎症の程度(SAAの測定値)によってSAAのHDLにおける分布が変化し、それに伴いHDLの粒子サイズが変動することが明らかになった。しかしながら炎症の過程において分泌されたSAAが粒子サイズの異なるHDLにどのように関わるか、また粒子サイズの異なる各HDL亜分画の機能に対する影響については更に症例数を重ねるとともに解析する必要性があると思われる。
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Research Products
(1 results)