2016 Fiscal Year Annual Research Report
新生児・乳幼児の臨床栄養評価および脂質代謝異常症指標としての血清中脂肪酸分析
Project/Area Number |
16H00675
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Research Institution | 地方独立行政法人長野県立病院機構長野県立こども病院 |
Principal Investigator |
日高 惠以子 地方独立行政法人長野県立病院機構長野県立こども病院, 臨床検査科, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 脂肪酸濃度 / 脂肪酸組成 / 多価不飽和脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸など多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、未熟児・新生児の視機能および脳の発達に対する作用、抗炎症および抗アレルギー作用、脂質低下作用などが報告されている。しかし、新生児・乳幼児の血清中脂肪酸組成は、臨床検査でほとんど測定されていないため, 臨床情報が乏しい。本研究では、新生児や乳幼児における栄養摂取、脂肪酸の吸収・代謝の臨床栄養評価と、脳を含めた様々な臓器形成や成長・発達の機能障害との関連性の解明に寄与するために、血清中脂肪酸組成分析の臨床への応用を目指した。 これまでの研究で構築したガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて新生児患者血清の血液中脂肪酸組成の経時的な変動を測定した。また、血清中脂質濃度、脂肪酸総濃度も測定し、合わせてデータを解析した。現在までに12例について出生後からの経時的な血清中脂質濃度、脂肪酸総濃度の検討を行った。総コレステロール、トリグリセライド、リン脂質、総脂肪酸は、出生後から経時的に上昇傾向にあり、ほぼ2週間以降は一定濃度もしくは緩やかな変化量であった。飽和脂肪酸(SFA)も同様な変化パターンであった。一方、必須脂肪酸を含むPUFAでは、生後1、2週間以降、濃度が徐々に上昇または低下するパターンがあり、個人により濃度変化が多彩であった。さらに症例数を増やして分析を継続中であり、栄養摂取状況、病態との関連性について統計解析中である。また、参考基準範囲の設定、脂肪酸組成分子種の逸脱頻度や逸脱率などの分析を行っており、病態特有の脂肪酸プロファイルを検討中である。 本研究は、国内のこどもの脂肪酸組成データとして、栄養学的および脂質代謝学的な基本的なデータとなる。本研究により、新生児や乳幼児の成長・発達だけでなく、脂肪酸代謝異常解明の臨床的応用が可能であり、栄養評価の面からも新生児や乳幼児が抱える多くの疾患に活用できる。
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Research Products
(1 results)