2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H00680
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐々木 幸江 弘前大学, 胚培養士
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 胚呼吸 / 胚評価 / 電気化学計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
体外受精・胚移植(IVF-ET)に用いられる胚の選択は、形態学的所見にのみ基づいて行われているが、実際に良好な胚を移植し得ているのか否かについては明らかではない。そこで、胚呼吸量測定による胚の評価基準を加味することで、形態学的に同等あるいは不等とされる胚の呼吸量の差異を明らかにし、より良好な移植胚の選別を行うことを目的として以下の検討をおこなった。 不妊治療を終了した患者の凍結余剰胚のうち、廃棄および本研究への同意が得られた12症例69個の正常受精卵および異常受精卵6症例14個の胚呼吸量を受精卵呼吸測定装置を用いて連日測定した。正常受精卵および異常受精卵は、胚呼吸量を測定するとともに受精後1日目の前核期胚から受精後6日目まで連日形態観察も行った。尚、サンプル数について研究計画調書で形態良好凍結胚(目標胚数100)、異常受精卵および発育不良胚(目標胚数それぞれ50)と設定していたが、培養器・顕微鏡の使用環境の問題から一度に施行しうる胚の数に制限があり、目標症例数には達さなかった。 「真の良好胚」とは、着床・妊娠できる胚である、本研究では形態学的良好胚盤胞あるいは孵化胚盤胞となった胚を良好胚と位置付けた。良好胚盤胞または孵化胚盤胞となった群とそれ以外の発生不良群に分けて検討を行うと、受精後2日目相当で形態評価が良好かつ受精後3日目相当の胚呼吸量が4.80~7.18(×10^<15>/mol s^<-1>)の範囲内であった胚は、良好胚盤胞発生率および孵化胚盤胞発生率が高かった(p<0.01)。この条件が当てはまる場合、良好胚盤胞または孵化胚盤胞まで育つ胚は46.2%であるが、この条件に当てはまらない場合の良好胚胚盤胞発生率は2.7%、孵化胚盤胞発生率に至っては0%であったことから、この条件は「真の良好胚」を選別するにあたり、重要な指標の一つになり得ることが示唆された。今後は、この選別法を行うことで胚移植後の成績が向上するか検討を行う必要がある。
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