2016 Fiscal Year Annual Research Report
男女の細胞が混合した試料から男性由来DNAを選択的に抽出する手法の開発
Project/Area Number |
16H00700
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Research Institution | 京都府警察本部 |
Principal Investigator |
佐藤 翔 京都府警察本部, 刑事部科学捜査研究所法医科, 研究員
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | DNA型鑑定 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 生物試料から高い精度で個人を同定できるDNA型鑑定法が犯罪捜査上の重要な手法となっているが、現在主流となっているSTR型DNA型鑑定法には、複数の人物に由来する細胞が混合した試料の場合、細胞が由来する個人のDNA型を同定することが難しいという問題があった。そのため、例えば性犯罪事件では、犯人である男性の精液や唾液等に含まれる細胞が被害者である女性の細胞と混じった状態で採取されるために、犯人のDNA型を検出できない場合がある。そこで、上記の問題を解決するために、ヒト男女の細胞が混合した試料から男性の細胞のみを選択的に回収し、そのDNAを抽出する手法の確立を目指した。 2. 研究方法 試料として市販の上皮系培養細胞A431、血球系培養細胞Rajiを用いた。細胞の標識には上皮成長因子受容体に対する抗体及びCD45に対する抗体を一次抗体として用い、それぞれの細胞種を異なる蛍光色素で標識した。標識された細胞の回収はASONECellピッキングシステムを用いて行った。 3. 研究成果 使用した2種の抗体によって上皮系細胞と血球系細胞を選択的に標識することができた。ASONECellピッキングシステムを用いることによって、標識された細胞を短時間に回収することが可能となり、DNA型鑑定に十分な量のDNAを抽出することができた。今後は、より実際の試料に近い細胞をヒトから直接採取して同様の実験を行うとともに、今回使用した抗体染色法に加えてハイブリダイゼーション法による標識の検討を行う予定である。
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