2018 Fiscal Year Annual Research Report
システム改革の下での地域分散型エネルギーシステムへの移行戦略に関する政策研究
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16H01800
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
大島 堅一 龍谷大学, 政策学部, 教授 (00295437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上園 昌武 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (00314609)
木村 啓二 公益財団法人自然エネルギー財団, 事業局, 研究員(移行) (00560583)
歌川 学 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (40356572)
稲田 義久 甲南大学, 経済学部, 教授 (50148607)
林 大祐 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (50732848)
竹濱 朝美 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60202157)
安田 陽 京都大学, 経済学研究科, 特任教授 (70268316)
高村 ゆかり 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70303518)
金森 絵里 立命館大学, 経営学部, 教授 (70330016)
高橋 洋 都留文科大学, 教養学部, 教授 (80456201)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域分散型エネルギーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、主に下記の5点に関する研究を行った。 1)システム改革:日欧比較を中心にして研究を行った。国際送電網について、再生可能エネルギー推進政策について、ドイツやフィンランドの調査を行い、エネルギー転換の流れを先導して進化が進む欧州の状況と、これに遅れをとる日本の状況を把握した。 2)電力需給分析:①電力需給バランスの解析のため、各電力管区の発電機データの解析。気象庁アメダスのデータによる太陽光/風力発電の広域出力予測の初期モデルの作成、②地域間送電線の活用状況の分析、③太陽光電力を収容するため、電気自動車充電行動の時間プログラムの作成、④火力発電機の起動停止―経済的運用の簡易モデルの作成。これらをもとに、⑤西日本の電力需給バランスと太陽光発電による温室効果ガス削減、燃料費の低減効果、⑥東日本における風力電力の地域間送電とCO2削減効果を解析した。 3)地域へのインパクト:福島県内の再エネ事業者、送電事業者に対するヒアリング調査を実施し、太陽光・地熱・小水力発電事業のデータを収集し、福島県の再エネ政策の現状と課題を整理した。これらに基づき、2005年版福島県産業連関表を概ね完成させ、2030年における福島県の再エネ導入シナリオの作成に着手した。 4)再エネ:発電コストの現状について、世界の動向と、日本における政策や業界の動向をまとめるとともに、高コスト構造の要因についての研究成果の一部をまとめた。 5)電力経営:2018年度は電力システム改革が電力会社の経営面に与える影響の整理・分析を行った。そのうえで,①電力・ガス分野におけるグローバルエネルギーサービスと、②エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスを中心としたFIT卒業電源のビジネスモデルを整理・分析した。また,大手電力会社の財務分析の一環として福島第一原発事故のコスト負担構造を整理し,債務認識の課題を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主に下記の理由で、おおむね順調に進展していると判断する。 1)システム改革:日欧比較を中心にして現地調査を踏まえて各国のシステム改革の現状と課題についての知見が得られている。また電力市場設計、系統運用ルールに関する研究も十分に行われている。 2)電力需給分析:電力需給バランスの解析を行うための解析モデルを構築し、2030年時点での再エネ導入量にあわせた各地域の電力需給バランスが分析できるようになっている。また、気象データや地域間送電線の利用等の条件が考慮できるようになってきている。 3)地域へのインパクト:具体的地域として福島県を選定し、再エネを考慮した産業連関表が概ね完成している。また再エネ導入シナリオについても作成されつつある。 4)再エネ:再生可能エネルギーの発電コストの構造についての分析をすすめ、日本の再エネの高コスト構造の要因を把握している。 5)電力経営:システム改革が電力会社の経営面に与える影響の整理・分析が行われた。また、原子力発電のコストと負担についても整理が行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の分野について研究を進め、本研究課題のまとめを行う。 1)システム改革:欧州で見られるセクターカップリングの状況を中心に調査を行い、最終年度として、地域分散型エネルギーシステムの行く末を展望する。再エネの大量導入を受けて、新たなエネルギーシステム・産業構造を構想する 2)電力需給分析:①東日本の電力管区における風力電力の地域間送電、②石炭発電削減効果、CO2削減効果、燃料費削減効果、③風力出力に対応した電気自動車充電と電力需給バランス効果について、考察する。地域間送電については、東北電力と東京電力の地域間送と電力需給バランスの考察を進める。最終的に日本に最適な電力システムの計画と運用・電力市場設計の提案し、研究をまとめる 3)地域へのインパクト:福島県における再生可能エネルギー普及の地域経済効果分析を完成させる。昨年度に実施した福島県の発電事業者などへの調査結果を基に、2011年および2030年版産業連関表を完成させ、福島県における2011年から2030年までのエネルギー構造の転換に付随する地域経済効果を明らかにする。 4)再エネ:日本の再生可能エネルギーの高コスト構造の解明を実証的に明らかにしたうえで、将来、2030年などの発電コストの推計を行う。 5)電力経営:これまでに蓄積した研究成果を引き続き発表・執筆するだけでなく,他グループとの検討結果の綜合化と政策・措置のオプション提示を意識した研究を行う。具体的には,前年度までの研究で明らかになった課題(電力システム改革が電力会社の経営面に与える影響)について調査を継続・深化させ,最終的に地域分散型エネルギーシステムの構築に向けた原発事業のあり方について提案し,研究をまとめる。
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Research Products
(80 results)