2017 Fiscal Year Annual Research Report
テーラーメード教育開発を支援するための学習者の読解認知特性診断テストの開発
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16H01819
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
新井 紀子 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (40264931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 拓也 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40463872)
犬塚 美輪 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50572880)
尾崎 幸謙 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50574612)
登藤 直弥 筑波大学, 人間系, 助教 (70773711)
影浦 峡 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00211152)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テスト理論 / 読解力 / 認知心理学 / reading |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究推進計画に基づき以下のことを実行した。 ① 読解力の認知プロセスモデルの精緻化、及び読解力を構成する要素スキルを再検討し、係り受け解析・照応解決・同義文判定・推論・イメージ同定・具体例同定(辞書)・具体例同定(理数)の7タイプの領域のスキルを選定した。4万5千人の受検者を対象として推計したそれぞれの問題タイプの能力値の相関係数は0.4から0.7であり、それぞれ関連した読解力の異なる要素を測ることに成功しているといえる。また、個々のタイプ内の一貫性は0.4から0.6程度であり(0.3以上の場合は妥当)、一貫性がある作問ができているといえる。 ②申請通り問題を作問し、そのうち約半数の千問については難易度b値の推計を終了し、CATで出題できる準備が完了した。加えて、本申請時に予定していた通り、本テストを社会実装するための一般社団法人「教育のための科学研究所」を発足させ、本科研費において考案した問題の仕様書に基づき、社団においてボランティアを求め追加の作問を実施させた。 ③②に基づき、CAT版で読解力の能力値をより精度高く推定するためのシステムを考案し、社団法人「教育のための科学研究所」と連携して、社会実装の道筋をつけた。 ④全国で189の機関において本調査を実施し、4万5千人が受検した。特に、機関として受検した48の高校の読解能力値の平均と学校のいわゆる入試偏差値との相関係数が、すべての読解力要素において、相関係数0.8を上回ったことから、本テストで測る読解力は総合的学力と極めて強い関係があることが示された。 本研究成果は認知心理学のトップ会議であるCogSci2017で採択・発表されるとともに、日本教育心理学会の特別セッションとして成果を公開した。また、多数のメディアに取り上げられ、招待講演を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定の10倍以上の受検者を得てテストを実施し、信頼性の高いテストを考案できた。最終年度に予定されていた社会実装を2年前倒しで行い、平成30年からは本研究で考案したテストを実際にサービスとして提供できるようにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年8月以降は、リーディングスキルテスト自体は、一般社団法人「教育のための科学研究所」でサービスとして実施し、各研究者が所属する機関と法人との間で適切な契約を結んだ上で、個人情報を一切扱わない形態でデータのみを法人より取得し、データの解析を通じて、縦断調査やテストの改良を行っていく。 能力値に応じた適切な指導法の考案については、共同研究契約を結んだ教育委員会と進めていく。
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Research Products
(8 results)