2020 Fiscal Year Annual Research Report
Interdisciplinary Reconsideration of Collective Memories after the Mnemological Turn
Project/Area Number |
16H01909
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
岩崎 稔 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (10201948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 昭夫 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20203284)
篠原 琢 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20251564)
長 志珠絵 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (30271399)
金井 光太朗 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (40143523)
石井 弓 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特別研究員 (50466819)
成田 龍一 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (60189214)
板垣 竜太 同志社大学, 社会学部, 教授 (60361549)
小田原 琳 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70466910)
土田 環 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (70573658)
米谷 匡史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (80251312)
藤井 豪 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (70886217)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 記憶論的転回 / 集合的記憶 / 犠牲者意識ナショナリズム / 想起の文化 / 忘却の効用 / 歴史修正主義 / 記憶と忘却 / 多志向的想起 |
Outline of Annual Research Achievements |
本事業は、集合的記憶と忘却を主題化した「記憶論的転回以後」の言説が、どのように変容し、諸論争を通じてさらにどのような混乱やアポリアが生じているのかを解明してきた。この問題は、歴史学にとどまらず、哲学・思想史、文学、人類学、地域研究、サブカルチャーなどの領域において認められるために、最終年度においても学際的な取り組みとなったが、予定していた国際会議をコロナ禍のために中止せざるをえず、zoomによる研究活動に組み替えた。 第一に本事業は、「歴史修正主義」と規定される歴史の書き直しや否認が持つ顕著に同型的な心性や論理的特徴を再整理するとともに、きわめて容易にそれらの主題が硬直した形で現れる原因、それがメディア状況とのかかわりで亢進していく経緯を明らかにした。 第二に、これまで集合的記憶の問題として考察されてこなかった諸主題の理解にも、あらために発見術的な補助線を提供した。なかでもハザード・スタディーズのひとつとしての原発事故などをめぐる記憶について、文学表現や美術表現を具体例として掘り下げていくことができた。その過程で、本事業のアメリカ側での協力者であった日本研究者の震災後文学の取り組みもシンクロした。 第三に、異なった被害経験のあいだでの「犠牲者競争」や「犠牲者の階層化」とでも言うべき否定的事態が生まれてしまうことについて考察が深められた。たとえば2020年のドイツのルールトリエンナーレをめぐって生まれたいわゆる「ムベンベ問題」は、ホロコーストの犠牲者に対する「想起の文化」の主張が、きわめて硬直的にコロニアリズムの集合的記憶を排除してしまう典型的な事態として検討してきた。これは韓国の研究者林志弦の提起する犠牲者意識ナショナリズム論にも通底する問題であるが、この隘路を突破する可能性としてmultidirectional recollectionという論点の意義を確認することができた。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(49 results)