2017 Fiscal Year Annual Research Report
リージョナル・コモンズの研究―地域秩序形成の東アジア=ヨーロッパ比較―
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16H02001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
遠藤 乾 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (00281775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90301861)
大庭 三枝 東京理科大学, 工学部教養, 教授 (70313210)
岩谷 將 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (80779562)
林 成蔚 常葉大学, 法学部, 教授 (20322787)
細谷 雄一 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (90322784)
川嶋 周一 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (00409492)
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 准教授 (50580776)
板橋 拓己 成蹊大学, 法学部, 教授 (80507153)
鈴木 一人 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (60334025)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コモンズ / 地域 / 秩序 / 安全保障 / 和解 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究は、東アジアと欧州の地域秩序形成の道筋を包括的に比較再検討するものである。具体的には、安全保障構造、機能的協力の束、市民和解の進展・停滞・逆行の複合ポリティクスに焦点を当て、4年をかけて歴史・現状・理論の三面から両地域の性格を洗い直し、地域大のコモンズの形成に向け、学問的なアウトプットと広く社会への提言を目指す。これは、目標とすべきモデルのない、可逆的な「地域」形成のダイナミズムを等身大で解明した上で、将来のあり方を問うことを目的としている。 2.本年度の目標は、初年度のインフラ構築、問題枠組と発見・探索的論点の共有を受け、対象とする時代の一次資料や政策現場を選び、具体的な調査を開始することにあった。 3.具体的には、①夏の北海道全体合宿で、理論枠組と論点の共有を試みたうえで、北米、台湾、韓国からスピーカーを招聘し、安全保障・機能的協力・市民和解の複合的ポリティクスに関わる地域秩序形成の解明を試みた。②同様に、拡大研究会を実施し、地域秩序を考察するために必要な原理的な観点から、国家主権について検討する研究会を開催した。③さらに、アメリカの外交安保実務家(のちに国防次官補に就任した)R・シュライバー氏を招聘し、現在のアメリカ外交と地域秩序について、まとまった討論を行った。④代表者を中心に、欧州、東アジアに資料収集・研究打合せに赴き、各地で講演等、発信にも努めた。そうしながら、諸外国との交流と人的ネットワーク形成・蓄積を進めてきた。 4.情報の収集と発信を開始した。文献一覧を作成し、現場知に関わる文献収集を引き続き行った。すでに立ち上げ済みのウェブサイトについては、あらたにアジア関係のコンテンツの検討を始めた。そのためのチームを札幌中心に研究の国内拠点として構築した。事務・連絡体制、拠点でのセミナー開催、ライブラリやIT関係設備整備のための人的資源を含め、体勢を維持した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
そのように判断した理由は、初年度の研究インフラ構築、問題枠組と発見・探索的論点の共有の上に立って、本年度に具体的な調査・検討の進展を見たことによる。またそのため、国内外にまたがって、研究ネットワーク作りが進んでいることも付加したい。 全体会合では理論枠組と論点の共有をした上で、安全保障・機能的協力・市民和解の複合的ポリティクスに関わる新しい地域形成の方途を考察することができた。そのために、今年は3つの大きなイベントを開催した。 まず、夏の北海道全体合宿でカナダ、台湾、韓国から一線で活躍するスピーカーを招聘し議論した。ここでは特に、地域秩序と和解の関係について、台湾と韓国という正反対の事例を取り上げたこと、またその和解と安全保障の関係をカナダの中立的な立場の専門家と考察できたのが貴重であった。 次に、別途理論的な研究者を集め、10名ほどによる濃密な報告を中心としたワークショップを行った。これらにより、カール・シュミットなどの理論家の検討やドイツの主権と欧州統合などが分析され、地域秩序と国家主権の関係が整理された。 さらにまた別の機会で、その時点では民間人であったアメリカの外交安保実務家R・シュライバー氏(現米国防次官補で東アジア政策のキーパーソン)を招き、研究会メンバーと密にアメリカ外交と地域秩序について討論できた。 最後に、代表者のみならずメンバーが積極的に欧州、東アジアに資料収集・研究打合せに赴き、各地で講演等、発信にも努めた。そうしながら、諸外国との交流と人的ネットワーク形成・蓄積を進めてきたことも大きい。そうしながら、諸外国との交流と人的ネットワーク形成・蓄積を進めてきたのである。
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Strategy for Future Research Activity |
全体会や研究会を開催し、それらを通じて知見をすり合わせてきたとはいえ、いまだ成果は各自のレベルにとどまっている。今後の目標は、国内・国際ワークショップを開催しつつ、全体の業績に高めていくことにある。 具体的にいえば、平成30年度は、東アジアやヨーロッパ、そしてアメリカにおける調査や研究交流を続ける一方、全体会合、各班の調査・分析の総合、国内研究会・国際ワークショップを充実させていきたい。それに加えて、文献資料のライブラリ化・電子アーカイヴ化、研究過程で産出される資料等の一般公開を精力的に進める方針である。 日程的には、全体会での理論的再検討をへて、9月に札幌で内外の研究者20名を報告者・討論者とした国際シンポを行う予定である。これらで集めた草稿を共有し、意見交換とフィードバックをネット上でも常時可能としたい。また代表者が台湾に長期滞在して得た知見を共有し、秋から冬にかけて、欧州班分担者と東アジア班数名とが地域相互の秩序形成を交錯させて検討を進める(東京かその近辺)。 平成30年度の早いうちに、世宗研究所の陳チャンス所長(長年の協力者)などからのレヴューを受け、必要に応じ、理論枠組と調査課題の総合的検討と再編を行う。
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Remarks |
○遠藤乾「【経済教室】仏大統領選後のEUと世界(中)「自由・開放」維持に期待残る」日本経済新聞2017年5月17日朝刊。 ○遠藤乾「【あすを探る】〔国際〕マクロン氏の強い確信」朝日新聞2017年5月21日朝刊 ○遠藤乾「【月刊・時論フォーラム/劉暁波氏死去】「切り下げの帝国」への抵抗」毎日新聞7月26日朝刊
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Research Products
(50 results)
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[Journal Article] Japan in 20182017
Author(s)
ENDO, Ken
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Journal Title
GOLDSTEIN, Andrea & CULVEREDS, Julia (eds.), The World in 2018 (Nomisma)
Volume: ――
Pages: 72―74
Open Access
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[Journal Article] A Japanese Perspective on Space Deterrence and the Role of the U.S.-Japan Alliance and Deterrence in Outer Space2017
Author(s)
SUZUKI, Kazuto
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Journal Title
HAROLD, S. W., NAKAGAWA, Y., FUKUDA, J., DAVIS, J. A., KONO, K., CHENG, D. & SUZUKI, Kazuto, The U.S.-Japan Alliance and Deterring Gray Zone Coercion in the Maritime, Cyber, and Space Domains (RAND)
Volume: ――
Pages: 91―104
Open Access
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