2018 Fiscal Year Annual Research Report
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16H02027
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内田 浩史 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60294295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
忽那 憲治 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00275273)
本庄 裕司 中央大学, 商学部, 教授 (00328030)
胥 鵬 法政大学, 経済学部, 教授 (60247111)
家森 信善 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (80220515)
結城 武延 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (80613679)
畠田 敬 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (90319898)
山田 和郎 長崎大学, 経済学部, 准教授 (90633404)
高橋 秀徳 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (90771668)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 企業金融 / 創業ファイナンス / 地方創生 / 雇用 / リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本の創業金融に関する実態把握を継続して創業ファイナンスの全体像を更に明らかにするとともに、創業企業の資金制約、資金調達が企業の実態面での活動に与える影響などに関して分析を進めた。 実態把握に関しては、企業向けアンケートデータ、インターネット調査データを用い、複数のサンプルを比較することで創業企業のタイプや資金調達のパターン(資本構成)を明らかにするとともに、日本における起業家の比率に関する分析も行った。またインターネット調査データについては追跡アンケートを行い、事後データを入手した。 創業金融に関する研究としては、企業タイプと資金調達パターンの関係を明らかにし、資金制約の決定要因や事後データを用いた企業パフォーマンスに関しても検討を進めた。またIPO株式の所有や価格決定、IPOとイノベーション、創業保証の意義、企業の収益性と成長などに関して研究を行うとともに、創業金融に関する分析の参考となる基礎研究として、中小企業支援策の現状と課題、昭和恐慌時の銀行破綻処理、証券取引所の合併の影響、過剰設備とゾンビ企業、などに関して研究を行い、論文・学会発表の形で公表した。 さらに、2018年9月12日には中小企業に関する大規模な国際学会Asia Council for Small Businessでコロラド大学Alicia Robb氏を招聘して特別セッションを開催、12月10日にはシンポジウム「企業や地域の成長・活性化に貢献できる金融ビジネスに向けて」を神戸大学経済経営研究所と共催し、研究成果を発表した。また12月8日にはカリフォルニア大学バークレー校James A. Wilcox氏を招聘した研究セミナー、10月からは6回にわたってソーシャルビジネスの創業と資金調達に関する一般向け公開セミナー「ソーシャルスタートアップセミナー」を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究の進捗状況は、「おおむね順調に進展している」といえる。 当初の計画では、本年度は昨年度までに行った実態把握から明らかになった日本の創業企業と創業ファイナンスの全体像を踏まえ、創業企業の資金調達、資金制約、資金調達と企業の実態活動との関係、に関して分析を進めることとしていた。上記実績概要に記した通り、本年度は概ねこうした計画通りに研究が進展している。また前年度までに行ったアンケート調査に関して複数の異なるタイプの創業企業サンプルを比較する研究を行い、インターネット調査データについては追跡アンケートを行って事後データも収集しており、次年度入手予定の企業向け調査の事後データと合わせ、データの収集は順調に進んでいる。今後はこうしたデータを用いた分析を多面的に進めて行く予定である。さらに、得られた成果は多数の論文・学会発表で公表しただけでなく、国際学会やシンポジウムにおいても発表し、海外から招へいした研究者との間でも深い議論を行った。 なお、今年度当初は研究代表者がアメリカの創業金融に関する比較研究を進めるため、在外研究により海外に滞在していたが、代表者・分担者は電子メール等で連絡を取りながら各自研究を進めており、進捗に問題はない。 唯一遅れが見られるのは、歴史的な比較に用いるための近代の企業信用情報データを用いた分析であるが、データセットの構築は既に終えており、2018年度経営史国際会議において個別事例の研究報告(倉敷紡績(現クラボウ)を事例とした創業期・拡張期における資金調達と企業統治の関係)も行っている。また、完成したデータセットに基づく産業革命期の創業企業の資金調達に関する研究も、近日中に取りまとめて公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究も、基本的に当初の研究計画通り推進する。 具体的には、昨年度までに行った実態把握から明らかになった日本の創業企業と創業ファイナンスの全体像を踏まえ、創業企業の資金調達、資金制約、資金調達と企業の実態活動との関係、に関して引き続き分析を進め、実務・政策インプリケーションを引き出すための研究を行う。 こうした研究では、前年度までにとりまとめを行った企業向けアンケートデータ、インターネット調査データを中心的に用い、継続中の研究を進めるとともに、新たな研究を開始し、科学的裏付けのある頑健なエビデンスを得る。具体的には、創業企業のタイプごとに資金調達の方法がどのように異なるのか、どのような創業企業が資金制約に直面しているのか、資金調達のパターンや資金制約が創業後のパフォーマンスにどのような影響を与えているのかを、企業の特徴だけでなく人的資本を中心とした創業者の特徴も考慮して分析を行う。こうした分析では、今年度に入手した、あるいは次年度に入手する、アンケート回答企業に関する追加的なデータも用いる。 また2019年9月には(独)経済産業研究所と共催で、創業金融・アントレプレナーシップに関する2日間の大規模な国際ワークショップを東京において開催し、内外から研究者を招へいしてこれまで本プロジェクトで得られた研究成果を発表し、コメントを得て議論する。また、一部セッションは一般に公開し、研究成果の対外発信を行う。 以上の作業においては、研究メンバー全員で研究フレームワークの共有を図るため、電子メールでの情報交換やミーティング等を開催し、関連研究の検討を行いながら、統一的な観点から研究を進める。
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Research Products
(31 results)