2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of ecosystem traceability techniques using multi-elements and molecular level isotope ratios
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16H02524
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| Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
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Principal Investigator |
陀安 一郎 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80353449)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 孝教 早稲田大学, 理工学術院, 客員教授 (20155782)
申 基チョル 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (50569283)
木庭 啓介 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90311745)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 安定同位体 / Isoscape / 軽元素 / 重元素 / トレーサビリティー |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度の成果である脊椎骨椎体の研究をもとにして、飼育下で餌変え実験を行なった。その結果、どの程度の時系列で炭素と窒素の同位体比が入れ替わるかが示された。本研究結果は、アイソスケープと体成分同位体比を比較して生息履歴研究を行う上での基礎的データとして活用できる。また、メチオニンの窒素同位体比を用いて、食物網における陸域由来と水域由来のアミノ酸窒素同位体比の混合率を計算する方法を開発した。本研究は、アミノ酸窒素同位体比を用いて栄養段階の推定を行う研究と、窒素源（ベースライン）の窒素同位体比を用いてアイソスケープと比較する生物移動研究を行う方法の両方に、新たな応用可能性を与える研究である。
本年度から新たに従属栄養植物の研究も追加した。従属栄養植物においては、森林生態系の地下部における複雑な栄養のやりとりの影響を受けて同位体比が変化することが想定される。分析の結果、森林生態系のアイソスケープ活用法について新たな方向性が得られた。本研究は引き続き、測定元素を増やすことで多元素同位体研究と発展させることができる。
また、窒素循環研究においては、シミュレーションモデルによる酸素原子交換速度の推定を開始した。平行して酸素原子の亜硝酸イオン・硝酸イオン・水間での交換実験試料測定を開始した。
一方、海洋での希土類元素は、滞留時間が短く固液での分配係数が異なる。この特徴を利用することで、海洋生物体内のNd同位体から陸域成分の寄与、REEパターンから体内にもたらされるNdの存在形態を求められることを明らかにした。
本年度から残りの２年間、地球研で行なっている「同位体環境学共同研究」の枠組みを活用し、さらに広い共同研究を展開することにした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、野外研究及び同位体分析に関する室内実験も問題なく行うことができた。新たな研究も開始したので、2019年度に4年間の取りまとめを行えるよう引き続き進めていく。
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| Strategy for Future Research Activity |
2019年度は研究の最終年度であるので、本研究で行なってきたアイソスケープ（同位体地図）と生物体の部位別・成分別同位体比の比較による生態系構造の研究をとりまとめ、論文化を進める。さらに、本研究をどのように活用するかについて、地球研で行なっている「同位体環境学共同研究」の枠組みで進めていく。
2018年度末よりヘリウムの不足が深刻化しており、サンプルの処理に時間がかかっているが、測定プロトコルの改善を通じ、できるだけ速やかに亜硝酸イオンと硝酸イオンの酸素同位体比測定を終了し、交換速度の推定を進めてゆく。
高い地質依存性をもつSr-Nd同位体比の生態系を構成する水や生物への適用の一方で、鉛同位体については陸域での分布が不明確であることから、環境鉛と地質鉛の地域性の検討を進める。また前年度から実施している東南アジア地域の水生態系に対する元素・同位体手法の解析を進める。
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