2016 Fiscal Year Annual Research Report
Feasibility Study for the generation of live cell from extinct or endangered animal
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16H02593
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
若山 照彦 山梨大学, 総合研究部, 教授 (40360672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸上 哲士 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10291064)
長友 啓明 山梨大学, 総合研究部, 特任助教 (30746813)
水谷 英二 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (80443034) [Withdrawn]
大我 政敏 山梨大学, 総合研究部, 特任助教 (40644886)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クローン / 核移植 / 絶滅動物 / 卵子 / 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究代表者が責任著者の論文を2本発表することが出来た。1つは尿に含まれる細胞からクローンマウスを作り出すことに成功した論文であり(Mizutani et al., Scientific Reports)、この成果は主要な全国紙およびNHKなどのテレビで広く報道された。尿を利用すれば動物の体を傷つけることなくドナー細胞を回収できることを示しており、野生動物や絶滅危惧種への応用が期待できる。現在は排尿から時間のたった古い尿由来細胞からクローンの作成を試みている。2本目は、初期化促進のための新しい技術開発として、ドナー核を未受精卵に2回移植する連続核移植に初めて成功した論文である(Wakayama S. et al., Cellular Reprogramming)。ドナー核を未受精卵の初期化因子に長時間触れさせて初期化を促進することを目的としたが、通常のドナー細胞に対しては成功率を改善する効果は見られなかった。しかし卵子細胞質内でDNA修復が行われることから、我々はダメージを受け通常の方法ではクローンを作りだすことが出来ないドナー細胞に対して効果があると考えており、現在この技術をもとに糞由来細胞核からのクローンマウス作出を試みている。また研究分担者が責任著者として、膣垢細胞から個体を傷つけずに細胞を回収してクローンマウスを作出することにも成功している(Kuwayama et al., Theriogenology)。染色体移植技術については、技術の簡略化と再現性を高める基礎研究を進めているが、まだ最適条件を見つけ出すことに成功していない。それ以外のテーマについても試行錯誤を繰り返しながら技術の開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年計画の1年が経過した段階で、全体の1/3には到達していないため「やや遅れている」の区分を選んだが、Nature姉妹誌(Scientific Reports)に掲載された論文(尿細胞からのクローンマウス作出)は日本だけでなく海外でもメディアで紹介されたことからもわかる通り、比較的インパクトの高い成果だった。この論文により、絶滅危惧種の体を傷つけずにクローン個体を作り出す可能性が初めて示された。また、初期化の促進、クローン技術の改善に関しても、論文を1本発表することが出来た。ほかに、本科研費のテーマの一環となる共同研究の論文もいくつか発表出来た。したがって論文数的にはある程度の成果が得られた年度だったと思われる。 しかし最大の目標としている染色体の1本移植技術の確立に関しては、さまざまな予備実験を行っているが、期待する成果は得られていない。これは当初から予想された範囲内ではあるが、ブレイクスルーを得るために今後も予備実験を行っていく。これ以外のテーマについても様々な予備実験が行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
尿細胞のクローン技術に関しては、細胞の回収効率を上げること、古い尿由来の細胞からでもクローンを作りだすことを目指す。一方糞由来の細胞に関しては、糞から核の採取方法を確立させ、今年度発表した連続核移植技術によってドナー核のDNA損傷を修復することで発生率を改善させ、世界初の糞由来クローンマウスの誕生を目指す。 染色体一本移植に関しては、異種動物から抜き出した1本の染色体がどのような条件のときに卵子内に組み込まれES細胞の樹立後も脱落せず維持できるのかを明らかにする。また、糞や毛皮などダメージの多い体細胞核を用いる場合は、最初に同種間で実験条件を確立し、染色体を1本だけ抜きとる技術のブラッシュアップに専念する。染色体一本移植技術に関しては、今後の結果次第では基礎研究の段階で、たとえ目標に達しなくても新技術であることから論文として発表していく。
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Research Products
(16 results)