2017 Fiscal Year Annual Research Report
Feasibility Study for the generation of live cell from extinct or endangered animal
Project/Area Number |
16H02593
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
若山 照彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40360672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸上 哲士 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10291064)
長友 啓明 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (30746813)
大我 政敏 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (40644886)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クローン / 核移植 / 絶滅動物 / 卵子 / 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、クローンマウスの研究において念願だったF1以外の卵子からのクローン作出に成功した(Tanabe et al., Reproduction 2017)。最も安く購入できるICR系統の卵子が利用可能となっただけでなく、系統間で卵子の初期化能力を比較することが可能となった。また、核の保存限界を明らかにする研究では、国際宇宙ステーション内で宇宙放射線に長期間曝したフリーズドライ精子であっても顕微授精によって産仔を得ることが可能であり、精子核に対するDNA損傷はわずかであることを初めて証明した(Wakayama S. et al., PNAS 2017)。この成果は主要な全国紙およびNHKなどのテレビで報道されただけでなく、海外でも広く紹介された。またこの研究において、ダメージを受けた精子核は卵子内で修復されていることを明らかにした。糞由来細胞核からのクローンマウス作出の試みでは、安定した核の採取に成功し、卵子内で移植した核のDNA修復が確認されたが(投稿中)、現時点で初期発生には成功していない。一方、活性化した卵子内の核の変化および初期化については、今まで生きたまま観察することは出来なかったが、今回我々は、zFLAPという新技術を開発し、生きたままダメージを与えずに核の変化を観察することに成功した(Ooga & Wakayama PlosOne 2017)。核移植や胚移植のためには、卵子や胚を保護するだけでなく顕微操作において卵子や胚を固定するために透明帯が不可欠である。そこで、人工卵子が作出できた場合のために、人工透明帯の開発を行ったところ、アガロースで作られたカプセルであれば透明帯の代替品となることを明らかにした(Nagatomo et al., Scientific Reports 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の2年が経過した段階で、単一染色体移植実験以外は順調あるいは予想を上回った成果がでているため、全体的に見ればおおむね順調に成果が出ていると判断した。なかでもPNASに掲載された論文(Wakayama et al., 2017)は、イギリスのガーディアン紙やアメリカのナショナルジオグラフィック誌で紹介されるなど、国際的に高く評価された。クローン技術の基礎研究に関しては、これまで不可能だったF1以外のマウス系統の卵子からクローンマウスを作ることに成功した(Tanabe et al., Reproduction 2017)。また、糞由来細胞の核移植に関する基本技術も開発出来たが、初期発生にはほとんど成功していない(投稿中)。受精直後の核の初期化状態を生きたまま観察する技術の開発にも成功した(Ooga et al., Plos One 2017)。人工卵子の顕微操作を可能にするためには人工透明帯の開発が不可欠である。そこで様々な代替品を検討した結果、アガロースを材料としたカプセルが人工透明帯として最適なことを突き止めた(Nagatomo et al., Sci. Reports 2017)。ほかに、本研究で確立した技術を用いた共同研究では、Nature誌やJ. Cell Science誌などいくつかの一流紙に論文を発表することが出来た。したがって今年度は論文の質と量的にはかなり高い成果が得られた年だったと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
糞由来クローンについては、核の採取および注入方法を確立できたことから、今後は連続核移植などを用いて初期化促進に力を入れ、初期発生および個体作出を試みる。毛皮由来の核移植については、採取方法がその後の発生に大きな影響を与えることが分かってきた。したがって研究を進めるためには核を安定に保存できる溶液の開発が不可欠である。そこで核単離培地(NIM)を修正し、最適化する。尿由来クローンについては、どのくらい古い尿から回収した細胞でもクローン作出に利用できるか明らかにする。染色体移植技術については、チューブリンの重合阻害に使われる試薬あるいはその溶媒が悪影響を与えている可能性が示されたため、代替薬品などを使用し、安全な脱重合方法を確立する。今年度に行った卵子内の初期化因子についての基礎研究から、初期化因子を減少させても受精卵の発生には影響が見られないことが分かってきた。初期化因子と発生の関係について詳細を明らかにする。F1以外のマウス系統の卵子を用いたクローンマウス作成方法では、初期化および個体作成は可能だが、偽前核に細かな水泡が生じることが分かってきた。まだこのような現象は報告されたことが無いため、この水泡について発生条件、発生タイプ、その後の発生への影響などを明らかにする。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Healthy offspring from freeze-dried mouse spermatozoa held on the International Space Station for 9 months.2017
Author(s)
Wakayama S, Kamada Y, Yamanaka K, Kohda T, Suzuki H, Shimazu T, Tada MN, Osada I, Nagamatsu A, Kamimura S, Nagatomo H, Mizutani E, Ishino F, Yano S, Wakayama T.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A.
Volume: 201701425
Pages: 201701425
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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