2016 Fiscal Year Annual Research Report
人為撹乱影響下におけるアフリカ大型類人猿の生態学的研究
Project/Area Number |
16H02753
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湯本 貴和 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70192804)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古市 剛史 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20212194)
橋本 千絵 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (40379011)
竹ノ下 祐二 中部学院大学, 教育学部, 准教授 (40390778)
北村 俊平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (60549674)
兵藤 不二夫 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 准教授 (70435535)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 環境変動 / 熱帯林 / 大型類人猿 / 社会変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガボン共和国のニシゴリラ、コンゴ民主共和国のボノボおよびウガンダ共和国のチンパンジーで、遊動域と食物選択について観察を行った。ニシゴリラでは対象集団は2016年10月から11月のあいだに核オスが消失した。しかし、これまで他地域のニシゴリラで報告されてきたような集団の崩壊は起きず、数頭のブラックバックが集団から離脱しヒトリゴリラになった以外は、集団の凝集性を維持し、最年長のブラックバックが核オスのように振る舞うことが確認された。シルバーバックを欠く集団構造は3月時点で比較的安定していた。今後もこの状態が続けば、ニシゴリラでは初めて、集団で生まれたオスによる集団の継承の事例となる。その間2頭のメスが未成熟のコドモとともに隣接集団に移籍した。移籍したメス2頭はいずれも離乳前のアカンボウを連れていたが、移籍後アカンボウは確認されていない。移籍の前後に子殺しにあった可能性が考えられる。また、メス2頭のうち1頭は3月にはいずれの集団でも確認できなかった。再移籍をした可能性がある。いっぽうで、コンゴ民主共和国のボノボのE1集団で継続していた順位変動について観察した。これまでの観察例から、オスの順位変動とメス間のグルーピングが密接に関係しつつ変化することがわかった。ボノボに特異的な諸特徴が、チンパンジーと分かれた後どのように進化したかということについての総合的研究を行った結果、ボノボがコンゴ川左岸に入って種分化した時期に起こった遺伝子浮動によるメスの発情のメカニズムに関す進化が、メスの社会的優位性、メス同士の集合性、オス間の交尾および繁殖をめぐる競合に影響をおよぼしていったという新たな仮説を提唱した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガボン共和国のニシゴリラ、コンゴ民主共和国のボノボおよびウガンダ共和国のチンパンジーの3つのサイトで順調に調査が行われており、大型類人猿の行動観察と植生がともに集まりつつある。3カ国の政治情勢、カウンターパートとの関係もきわめて良好である。とくに観察しているニシゴリラでは、群れを率いていたシルバーバックが消失し(おそらく死亡、しかし死体の確認はできず)、今後大きな社会変動が予想される。そのための観察シフトも組んで、変化のプロセス(群れの構成、遊動域、食物選択など)をつぶさに追跡することが可能であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の調査に加えて、植生の過去の変化をたどるために、入手できるできるだけ古い、しかも十分な解像度のある衛星写真を入手して、解析を進めたい。同時にとくに長期のデータのあるコンゴ民主共和国ワンバのボノボ、ウガンダ共和国カリンズのチンパンジーの過去の遊動域、食性、さらに社会構造の変化との関連づけを試みたい。
|
Research Products
(18 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Epidemiological surveillance of Lymphocryptovirus infection in wild bonobos2016
Author(s)
Yoshida T, Takemoto H, Sakamaki T, Tokuyama N, Hart J, Hart T, Dupain J, Cobden A, Mulavwa M, Kawamoto Y, Kaneko A, Enomoto Y, Sato E, Kooriyama T, Miyabe-Nishiwaki T, Suzuki J, Saito A, Okamoto M, Tomonaga M, Matsuzawa T, Furuichi T, Akari H.
-
Journal Title
Frontiers in Microbiology
Volume: 7
Pages: 1262
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-