2017 Fiscal Year Annual Research Report
人為撹乱影響下におけるアフリカ大型類人猿の生態学的研究
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16H02753
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湯本 貴和 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70192804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古市 剛史 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20212194)
橋本 千絵 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (40379011)
竹ノ下 祐二 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (40390778)
北村 俊平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (60549674)
兵藤 不二夫 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 准教授 (70435535)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 類人猿 / 生息環境 / 植物の機能形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
チンパンジーが生息しているウガンダ国カリンズ森林で、森林を構成する主要な樹種について、植物の機能形質である材密度、葉面積葉重比、葉の硬さ、窒素含有量を計測した。またチンパンジーが採食する植物の葉については、新葉と旧葉を採取して、葉面積葉重比、葉の硬さ、窒素含有量を比較した。その結果、チンパンジーが好んで食べる樹種の葉は、葉の硬さが柔らかく、窒素含有量を多い傾向があり、それは材密度が小さく、葉面積/葉重比が大きい、すなわち光環境の好適な場所で成長量が大きいという生態学的な性質と関連が大きいことがわかった。このことは、チンパンジーなどの類人猿は原生林の成熟した林分よりも、むしろ人為などで撹乱を受けた二次林などで採食する時間が長いという観察と一致した。より樹上生活に適応していると考えられるオランウータンについても、マレーシア・サバ州のキナバタンガンの森林でも、同様の植物サンプリングをおこなった。まだ窒素含有量などの計測は完結していないが、葉の硬さが柔らかい、材密度が小さい、葉面積/葉重比が大きいなど、アフリカのデータと類似する傾向があることがわかった。オランウータンの場合には、明るい環境である川辺林で採食が多くみられる一方、成熟林分内では不定期に展開する新葉をもとめて、森林内をかなり広い範囲で移動している可能性がある。今後は、キナバタンガンの森林をサンプルを国内に輸入し、さらに高度は化学分析をおこなって、厳密な比較による議論をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マレーシア・サバ州で生物多様性条約に関連して、植物標本の輸出に関する手続きが変化したことにより、予定どおりにサバ州から輸出し、日本に輸入することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、マレーシア・サバ州で生物多様性条約に関連して、新しい手続きにしたがって植物標本の輸出許可を再申請しており、7月までには輸出許可が得られる見込みである。輸入したサンプルは速やかに機能形質を計測し、アフリカのチンパンジーの生息する森林と比較可能なデータセットとしてまとめ、解析する予定である。
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Research Products
(10 results)