2016 Fiscal Year Annual Research Report
3次元物体の質感が表現可能な体積型ホログラムプリンタの開発
Project/Area Number |
16H02819
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山口 健 日本大学, 理工学部, 助教 (90434125)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 浩 日本大学, 理工学部, 教授 (20182735)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ホログラフィ / 3次元ディスプレイ / 計算機合成ホログラム / 体積型ホログラム / フルカラー / 高速計算 / GPU |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はこれまでCPUで計算していた干渉縞をGPUによる計算に変更することを行った。干渉縞は記録対象となる物体点光源データ1点1点に対して行うため並列化することが容易である。しかし本研究で用いる空間光変調器の空間分解能はホログラムの再生には十分な性能を有していないため,分解能を超える干渉縞を計算しようとするとノイズになってしまう。そのため,計算時にあらかじめ空間光変調器の分解能を超える干渉縞を計算しないように条件を加える。GPUによる計算では条件分岐などは速度低下につながるため可能であれば避けるべきではあるが,今回のGPUの計算では条件分岐を使用したうえでCPUと比較して10倍程度の高速化を実現することができた。さらに複数のGPUを用いる干渉縞計算のソフトウェアを構築し,2枚のGPUを用いて1.5倍の高速化を実現した。
計算した干渉縞を体積型ホログラムとして出力システムについては,これまで緑レーザを用いたものであったため,緑単色のホログラムしか記録することができなかった。そこで,新たに2色のレーザを導入してフルカラーの体積型ホログラムを出力可能なシステムの構築を計画した。初年度はこれまでの緑に追加して赤レーザを用いてマルチカラーホログラムを出力するシステムを構築した。これにより,マルチカラーの体積型計算機合成ホログラムの出力に成功したが,シャッタ制御など自動化が行えていないところがあり,今後PCによる制御を行いホログラム出力の自動化を実現する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の研究として,マルチカラー化,干渉縞計算の高速化を実現した。以前までの研究として,緑単色の体積型計算機合成ホログラムの出力に成功していた。そこで,初年度は使用するレーザを増やし,まずマルチカラー(赤・緑)の体積型ホログラムの出力を行った。各波長のホログラムの記録に必要な干渉縞を計算し,新しく追加したレーザを組み込んだ光学系を構築した。マルチカラーのホログラムを出力することはできたが,光学系の調整が十分ではなく質の高い再生像は得られなかった。また,機器の購入に時間を要したため,ホログラムの出力をするためのシステムを自動化するに至っておらず,レーザ変更時にいくつかの手作業が生じている。このため,マルチカラーホログラムの出力に時間を要しており,効率的な特性の測定を行うことができていない。
干渉縞の計算に関しては,これまでCPUを用いて計算を行っていたが,GPUを使う計算ソフトウェアを構築することができた。GPUはCPUに比べて多くの計算コアを持っているため,並列計算を行えるものに適しており,本研究ではCPUの計算に比べ10倍程度の計算速度向上を実現することができた。また,GPUを複数用いるシステムの構築も行っており,さらに高速化を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として,まずフルカラー体積型ホログラムの出力ができるように光学系の構築を行う。また,システム全体をPCで制御し自動的にホログラムが出力できるようにシャッタ・ステージ・空間光変調器を制御する。光学系の構築では,前年度購入したレーザ,シャッタ,ステージを導入した光学系を構築する。本年度は3色のレーザを用いる予定であり,光学系の一部では3色の光で共用の部分があるため調整に時間を要すると考えている。そのため,光学系構築と並列して各デバイスの制御システムを構築することで,効率的な研究が行えるようにする。
光学系構築後は各種特性の測定を行い,鮮明なホログラムが出力できるよう調整する。ここで各種特性とは,露光時間,露光前に設ける振動による影響を低減させるセトリング時間,ステージの速度制御である。露光時間は感材により必要な露光量が異なるため適切な時間を設定する必要がある。さらに本研究は3色のレーザでの多重露光を予定しており,各レーザの露光量により再生される像の色味が変化してしまう。各色のバランスが元のデータと同じになるような最適な露光量と露光順を確立する必要がある。次にセトリング時間であるが,今回新しくしたレーザはこれまで使用していたものよりも出力が高いものであり,またステージの感光材料の固定方法もより振動の影響の少ないものに変更することができた。そこで,必要十分なセトリング時間に変更することで出力時間の短縮を図ることができる。セトリング時間は露光1サイクルの中において8割ほどの時間を占めているため,全体の撮影時間を大幅に短縮することが期待できる。ステージのモータの制御に関しては,新しいステージでの干渉縞の記録に影響のない数値に設定することで,撮影時間の短縮につなげる。
|
Research Products
(2 results)