2018 Fiscal Year Annual Research Report
3次元物体の質感が表現可能な体積型ホログラムプリンタの開発
Project/Area Number |
16H02819
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山口 健 日本大学, 理工学部, 助教 (90434125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 浩 日本大学, 理工学部, 教授 (20182735)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 体積型ホログラム / オーバーラップ / 計算範囲 / 再生像 / 同時露光 / 記録光学系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では,フルカラーの鮮明な像の記録のため前年度までのシステムにおいてどこに問題があるのかの調査を行った.これまでの出力結果では,RGB各色の記録は行えていたが,記録物体の色の再現性が低かった.そのため,撮影プログラム検証,撮影光学系の検証を行い問題点の検証を行った.その結果,AOMの不調が判明したため,修理に時間を要してしまった.AOMを使用できない間,一時的にフルカラーの像記録を断念し,次の3つの項目について研究を行った. まず,我々の出力装置は記録対象の一部ずつタイル状に記録する方式をとっているが,用いているX-Yステージの性能上各要素同士に隙間や重なりが生じていた.隙間の改善には他の研究グループが要素を半分ずつ重ねる方式により改善する方法を提案していたが,撮影時間が大幅に伸びることが問題となっていた.そこで,我々のグループでは重ねる領域を1割程度にする方式を新たに提案し,実装した.これにより,撮影時間は重ねる処理を入れないときに比べて伸びるが,再製造の質の改善につながった.次に,CGデータから点群データ生成するシステムの改善を行い,多視点の点群データを出力可能にした.多視点の点群データに対して干渉縞の計算範囲を付与するアルゴリズムを作っていないため,これを利用した再生像を出力するに至っていないが,次年度の準備として一定の成果が得られた.最後に,これまでのフルカラーを撮影する光学系から新たな光学系への設計の変更を行った.これまでの光学系はRGB順に露光する方式をとっていたが,記録に用いる感光材料の特性上,同時に露光したほうが鮮明なカラー像が得られるという研究データがあったため,同時に露光できる光学系の設計を行い重要となるパーツの制作を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
進捗の遅れている主な理由は機器の不調である.昨年度の研究においてレーザの出力が安定せず,フルカラーで重要となる各波長のバランスをとることができなくなってしまった.本年度はこのレーザが修理から戻ってくるのに時間を要してしまった.また,光源のシャッタとして利用していたAOMの動作が不良が発覚した.これは,AOMにおいて回折する1次のレーザ光が本来決まった位置に回折するところ,回折位置が時間的に緩やかに回折するという症状を起こしていた.このため,シャッタ時間を均一にそろえることができず,露光のむらが生じていた.フルカラーでの撮影の場合,シャッタ時間を均一にそろえることができなければ,RGB各露光量のバランスを測定することができず,数度実験を繰り返しても最適な露光時間を決めることができずにいた.この原因究明に時間を要したことが,本年度の遅れの原因である.原因究明後は,機器の修理をする時間を利用し,単色でも成果の出る各要素ごとの継ぎ目の改善や新たなフルカラー光学系の設計などを行った.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究において,新たなフルカラー記録のための光学系を設計した.次年度はまず,この光学系を利用した像の記録を行う.現在は1枚の空間光変調器(SLM)を利用しているが,新しい光学系では3枚のSLMを利用しているため,それぞれのSLMに別々の干渉縞を表示するようシステムの改修を行う.また,RGB各レーザのシャッタを同時に制御できるように改善を行う.次に,視点移動に伴う再生像の欠けや重なりの改善のため,多視点からの点群データを用いた干渉縞の計算システムの構築を行う.本年度の研究において,多視点のデータ構築を行ってるため,各要素の干渉縞に対する計算範囲を付与するアルゴリズムを新たに作ることで実現できると考えている.また,現在新たな点群データ生成のための研究を行っており,これまでよりも写実的な点群データを利用できるようになってきた.本システムでは,フルカラーの像再生が行えるため,この新たな点群データについても利用できるよう出力データを調整し,写実的な像の再生が行えるか検証を行う.
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