2016 Fiscal Year Annual Research Report
任意物体の3次元運動センシングに基づいた高速空間把握に関する研究
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16H02844
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 義浩 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (80456160)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | センシングデバイス・システム / 運動計測 / 3次元計測 / コンピュータビジョン / 画像情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たな運動センシングの確立に向けて、A) 基盤技術と拡張機能の確立、B) 非接触・高速性を始めとする独自の性能がもたらす応用展開、C) 高速ビジョンとの融合に基づく時空間把握、D) 実世界の運動物体を高品質かつ瞬時に取り込むダイナミックデジタルアーカイブへの応用の4つのサブテーマに着手する。本年度は下記の通りに実施した。 サブテーマAでは、まずTOF測距・ドップラー速度計・ガルバノミラーから成る基本ユニットの構築から着手した。次に、基本ユニットの計測精度向上に向けたシステム拡張の設計に取り組んだ。本センシングでは、ドップラー速度が得られる方向と、対象の運動方向が直交する場合には、不良設定問題となる恐れがある。そこで、レーザを照射する方向の自由度を従来に比べて大幅に向上させる構成を設計した。また、更なる拡張として基本ユニットを複数台用意して、多方向から観測するシステムの設計も検討を進めた。一方、基本ユニットでは計測できる範囲が限られている問題があった。そこで、リアルタイムに取得された3次元運動情報を用いて、対象の運動に合わせて、同物体表面に継続してレーザを照射し続けることができるように、トラッキング機能を組み込む案を検討した。 サブテーマCでは、法線を取得する画像センシング、及び形状を取得する画像センシングの2つと、開発した3次元運動センシングを統合するシステムを開発した。特に、法線を取得する代表的手法の照度差ステレオでは、光源と視点の位置関係を変化させるために、3回以上の撮像が必要とされており、運動物体への適用が難しかった。今回のような3種のセンシングが互いの情報を補完するようなセンサフュージョンにより、運動物体を観測した時系列画像間で画素レベルの対応付けが可能となり、上記の問題が解決可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つのサブテーマに対して、当初計画していた成果を順調に収めている。サブテーマAでは、当初の想定通り基本ユニットの構築と拡張が行えることを確認しつつあり、次年度以降で具体的な性能評価をよりシビアな環境で実施できると想定している。また、基本ユニットを複数台配置する以外にも、精度向上を可能とする新しい案も検証しつつあり、成果は順調である。また、サブテーマCでは、3次元運動センシングを軸として、多種のセンシングを融合することで、運動物体に対しても高いクオリティの情報をリアルタイムに取得できる可能性があることを示しつつある。同内容も予定通りの成果を収めており、次年度以降の基盤が整いつつあると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度に開発した基盤技術の完成度を向上させるとともに、定量的な性能評価を実施する。さらに、このような基盤技術を整備したうえで、高速ビジョンとの融合やデジタルアーカイブへの応用展開を図る。サブテーマAでは、精度向上のために拡張したシステム構成を具体的に開発するとともに、トラッキング機能との統合を図る。また、さらなる機能拡張として、計測範囲を360度方向に拡大する案、現行の剛体物体に制限されている部分を非剛体物体に拡張する案、小型化に向けた新モジュールの設計案などの検討・実施を進める。これらの基盤技術を元にサブテーマBにおける応用展開にも着手する。具体的には、スポーツ支援、エンターテイメント応用、VR・AR、ロボティクス、検査などを応用分野として想定している。さらに、サブテーマCでは、3次元運動センシングと高速ビジョンの融合について、精度や計測情報の拡大を狙った新案に着手する。サブテーマDでは、人、移動体、動物などのアーカイブに注目して、社会実装を狙ったProof Of Conceptの開発を進める予定である。
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