2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H02857
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大谷 真 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40433198)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 臨場感コミュニケーション / バーチャルリアリティ / 可聴化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,総合的な見地から音環境の評価・設計を可能にするプラットホームとして,他発音だけでな自発音・環境音をふくめた包括的な音場可聴化システムの構築を試みる。今年度実施した項目は、A-1 シミュレーション音場における仮想収録・再生理論の検討、A-2 他発音可聴化サブシステムの実装・性能評価、B-1 自発音可聴化手法の検討及びプロトタイプの作成、であり、得られた成果は下記の通りである。 A-1及びA-2:BRIRを間接的に合成するための仮想収録・再生理論として、波面合成と高次アンビソニックスの2つの理論について物理的及び心理的観点から検討を行った。その結果、波面合成では音場再現領域は比較的大きいものの、知覚上充分な性能を達成するためには数千~数万点の制御チャネル数が必要であり、演算コストが非常に高いことが明らかとなった。一方、高次アンビソニックスでは、再現領域は小さいもののより少数の仮想収録点・音源数で再生が可能であることが明らかとなった。本研究で構築を目指す可聴化システムが想定している受聴者は1人であるため、演算コストの面から高次アンビソニックスの理論に基づく仮想収録・再生の方が適していることが分かった。これらの結果から、本研究での収録・再生理論として高次アンビソニックスを採用することとした。 B-1:A-1及びA-2の検討結果から、自発音可聴化においても高次アンビソニックスの理論に基づいた仮想収録・再生の方法論を導入することとし、このプロトタイプを作成した。また、次年度に行う実時間畳込み装置による実装に向けて装置の導入・環境整備を行い、実装の目処が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
他発音及び自発音の仮想収録・再生に用いる理論の選定及び実装に向けた整備はほぼ完了しており、また、信号処理部分についても実時間畳込み装置の導入とプロトタイプの実装は完了している。仮想収録・再生の各サブシステムとの統合が必要であるが、既に仮想収録サブシステム及び再生サブシステムの理論整備・構築に着手しており、次年度以降におけるシステム統合の目処はついている。以上より、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
他発音の可聴化については、理論の整備が完了しており、今後は仮想収録サブシステムと再生サブシステムを構築していく。自発音の可聴化については、実時間畳込み装置を用いて実装することで信号処理部分の実装の目処は立っているが、特にスピーカによる再生の際に自発音の収録用マイクロホンとスピーカの間に生じる音響ループによりハウリングが生じると予想されるため、今後はこの解決策を講じる。また、次年度に取り組みを開始する環境音の可聴化では、環境音をいかにモデル化するかについて検討を行っていく。
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Research Products
(8 results)