2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H02937
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
須藤 健悟 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (40371744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増永 浩彦 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (00444422)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気酸化能 / 化学気候モデル / 物質循環 / OHラジカル / 全球雲分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、紫外光(UV)強度変動推定の実質的な高精度化のため、MODIS衛星観測や雲シミュレータISCCPによる雲全球分布データを用いた雲同化の実作業を実施した。また、雲同化に伴う、化学気候モデル中の雲放射強制力の変化を定量的に評価した。さらに、UVや水蒸気に加え、窒素酸化物(NOx)や各種関連気体(CO、メタン、VOCsなど)のエミッション変化が及ぼす全球大気酸化能の変動も定量化し、CCMI等のモデル間比較プロジェクトのデータも併用しながら、解析を実施した。とくに、OH濃度に影響する、NOx,CO,VOCs,CH4等の微量気体の排出量変動の寄与を分離・推定するため、人為起源(産業・交通など)の排出量変動(2000-2016年)については、EDGARやMACCityなどの既存インヴェントリに加え、CHASERモデルの衛星同化手法(CHASER-DAS)による排出量の逆推定も利用し不確定性も含めた考察を行った。また、対流雲中の雷から発生するNOx(雷NOx)の変動がどのように全球OH分布に影響しているか、感度解析を実施し、とくに南米やアフリカ等の熱帯域でOH分布に顕著な影響を及ぼしていることを確認した。さらに、陸域生態系・微量ガス交換モデルVISITによるBVOCsの排出量推定計算を用い、過去の長期BVOCs変動がOHに与える影響を定量化し、ホルムアルデヒド(HCHO)の衛星観測データを用いた検証を行った。この結果、熱帯域、とくに太平洋域で、現状の化学気候モデルはOHを大きく過大評価している可能性が示され、これには未知の化学過程が関与している可能性が提示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種OH変動要因の定量評価は予定通り実施されている。 全球雲分布の同化作業については、本年度の研究で着手されたが、OH変動への影響についての定量評価が未了であり、H30年度の喫緊の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
雲分布同化による化学気候モデル中のOH全球分布の推定研究を重点的に進め、ホルムアルデヒドの衛星観測等を用いた検証を行う。また、各種OH変動要因の解析と併せ、総合的な解析を行い、まとめる。
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Research Products
(9 results)