2016 Fiscal Year Annual Research Report
GPSとInSARを統合した地盤変位計測による時空間切れ目のない安全監視技術開発
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16H03153
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
清水 則一 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (70150357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 伸一郎 山口大学, 創成科学研究科, 助教 (70346089)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | GPS / InSAR / 変位計測 / 時空間高密度 / 斜面 / 地震 / 火山 / 沈下 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度の研究は大きく2つに分けられる. 1.新しいGPSセンサーの性能調査 空間高密度の計測を実現するために低コストセンサーによって従来と同程度のmm精度の計測が可能であることが示された.さらにより低コストとするためにナビゲーション用のアンテナを用いて性能調査を行った.電波の反射を防ぐ電波吸収グランドプレーン(GP)を用いることで,従来の高性能アンテナに比べて20%程度の精度低下はあるものの数mm単位の変位計測が可能であることが示された.次に時間高密度(短周期)の計測を実現するためにキネマティック方式と平均化手法を組み合わせる方法を用いた.30秒周期の計測結果を10分平均することで,1時間周期のスタティック方式と同程度のmm精度の計測が可能であることが分かった.この方法を30秒周期で実施すると30秒周期でmm計測が可能となる.実験はGP付きナビゲーションアンテナでも実施し,20%程度の精度低下はあるものの実用性に耐えることが分かった. 2.InSARの変位計測適用のための課題抽出と解決 InSARの適用対象として,広域地盤沈下,長大斜面,火山,地震後の地盤変動を対象に適用性と課題を調べた.広域地盤沈下では時系列解析を,長大斜面では地形解析を含めた計測精度の限界を調べた.いずれもGPS計測結果との比較を行い,一次元的な変位をcm程度の精度で計測できることが示された.ただし,適切なフィルターのウィンドウサイズ,アンラップ法など問題によって異なるため,対象と目的精度にあわせた選択が必要である.次に,熊本地震による地盤変位計測と被害との対応について調査した.変位は領域平均値となり,現時点では直接被害を検出することは困難である.一方,干渉性を調べることにより液状化領域や被害家屋などが検出できる可能性が示された.火山については,水蒸気爆発の前兆の山体膨張が顕著に見てとれた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の計画どおりに,センサーの基本性能調査を実施し明確な成果を得た.成果としては,新しい低コストのセンサーでも従来と同精度の計測が実施できる,より安価なアンテナを用いた場合,20%程度の程度低下はあるが,これを許容できる場合,十分実計測に適用できる. 一方,InSARによる地盤変位計測では,広域地盤沈下,長大斜面監視,地震後地盤変位検出,火山動態観測への適用性が示された.
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Strategy for Future Research Activity |
GPSセンサーについては現場への適用,より高度なデータ処理技術の開発を目指す.InSARについては,より詳細な変位監視への適用を,(1)広域地盤沈下計測,(2) 地震による地盤変動計測,(3)火山活動監視,(4)地すべり変位計測,(5)露天掘り鉱山斜面計測,(6)ダム構造物変位監視に対して実施し,解析に用いる各種パラメータの設定についてガイドラインを検討する. また, GPSによる連続変位計測を行っている広域的試験領域において,InSARによる変位計測を実施する.GPSとInSARを統合して時空間切れ目のない計測を行うための方法を試行し妥当性を検証する.
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Research Products
(9 results)