2016 Fiscal Year Annual Research Report
情報理論に基づくタグパターンを用いた第2世代タギングMRI法の開発
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16H03167
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 哲也 京都大学, 情報学研究科, 教授 (00209561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 晃 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60252491)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MRI / タギングMRI / デジタル符号化 / パターン認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、情報理論に基づいたタグパターンの設計を行い、従来とは異なるピクセルレベルの運動情報の検出を可能とする第2世代のタギングMRI法の開発・実証を目的に、理論的、実験的検討を行っている。タグパターンをデジタル符号列とみなす特許取得済みタギングMRI撮像法において、複数回の撮影が必要で非効率的であるという問題点に対し、デジタル符号列を空間的に拡張することにより1回の撮像で空間的デジタル符号パターンの付与が可能な撮像法として実用化を目指している。 研究開発は1) 効率的な2次元のタグパターン配列の設計、2) 領域選択的MRI励起法による2次元タグパターンの実装、3) タグパターンの高速な自動検出法の確立、という3つの研究項目に分けて実施しているが、初年度の平成28年度には、研究項目1), 3)について、提案手法の理論的な検証を目的に、雑音などの問題点を無視した理想的な状態を想定し、①各画素に与えた符号の独立性、 ②タグの明暗部の比率の2つの条件に関する評価値を参照しながら自由にタグパターンを設計できるシミュレーション環境を構築するとともに、設計されたタグパターンに対応して自動的にテンプレートを生成するタグパターン検出ツールを作成し、①、②の条件に合致する数種類のタグパターン候補を選定した。また、上記と並行して研究項目2)の2次元タグパターンを生成するために、領域選択的 MRI 励起に用いるRFと傾斜磁場をSLR法と呼ばれる計算法で設計するMATLABツールを作成し、単純な2次元タグパターンについては設計したパルスシーケンスを研究用MRI装置に実装して予備的な撮像実験を行ったが、設計したRFや傾斜磁場によってはタグパターンに歪みや空間分布の不均一性が生じるため、その原因の解明に向けて実験的検討に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、具体的な研究内容として、1) 効率的な2次元のタグパターン配列の設計、2) 領域選択的MRI励起法による2次元タグパターンの実装、3) タグパターンの高速な自動検出法の確立、という3つの研究項目に分けて研究を進める計画を立案している。 上記の研究項目1)については、当初の予定通り、各画素に与えた符号の独立性とタグの明暗部の比率という2つの単純化した条件に関する評価値に基づいて数種類のタグパターン候補を選定するまでに至り、これらに対応して自動的にテンプレートを生成するタグパターン検出ツールを作成し、研究項目3)も計画の通りに進捗している。研究項目2)については、2次元タグパターンを生成するための領域選択的 MRI 励起用パルスシーケンスにおけるRFと傾斜磁場をSLR法と呼ばれる計算法で設計するMATLABツールを作成するとともに、単純な2次元タグパターンを対象に設計したパルスシーケンスを研究用MRI装置に実装して予備的な撮像実験を開始するまでに至り、本研究項目についても予定通りに進んでいる。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、前年度に実施した予備的な撮像実験で確認されたタグパターンの歪みや空間分布の不均一性に対して、その原因の解明を目指す。実際の撮像実験におけるタグパターンの歪みや空間分布の不均一性の発生は、ある程度は事前に予想しており、タグパターンの生成に用いるパルスシーケンスの時間的な長さや傾斜磁場の強度などが関与していると考えられるため、様々なパルスシーケンスを用いた撮像実験を繰り返すことにより、歪みや不均一性が低減するようなRFと傾斜磁場に関する条件を明らかにする。研究項目1)において、前年度は各画素に与えた符号の独立性とタグの明暗部の比率に注目してタグパターンを選定したが、歪みや不均一性に関する条件が明らかになれば、それらを追加して、候補となるタグパターンを絞り込む。 研究項目3)のタグパターンの検出については、これまでは検出ツールの作成に注力してきたが、実際の撮像実験結果からタグパターンの歪みなどが完全に排除できない場合も考慮する必要があると予想されるため、歪みなどに対して頑健であることも重要なポイントとなると考えられ、平成29年度には検出精度についても検討する。検出精度に関する定量的な評価手法を確立し、タグパターンを設計する際に検出精度が優れている点を条件に付加する予定で、歪みや不均一性という実践的な課題に対して、直接的な低減と検出時の頑健性という異なるアプローチで対策を練る。 研究項目2)については、既に基本的なパルスシーケンスの実装は終えているため、歪みや不均一性に対する影響を検討するための実験に備えた様々なパラメタの調整が中心となると考えられ、研究項目1), 3)の進捗にあわせて撮像実験を進める。
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