2017 Fiscal Year Annual Research Report
経皮的炭酸ガス吸収及びパルス超音波照射の併用による糖尿病性微小循環障害の治療戦略
Project/Area Number |
16H03208
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
近藤 浩代 名古屋女子大学, 家政学部, 准教授 (50333183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
石原 昭彦 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (90184548)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 血管 / 代謝 / 糖尿病 / 微小循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病合併症は微小血管障害に起因する臓器の機能不全による. また, 微小血管において慢性炎症を引き起こし,毛細血管を退行させる. 一方, 運動による血流増加は毛細血管の退行を抑制させることができる. また, 経皮的な二酸化炭素の吸収はボーア効果による血流促進効果をもつことが報告されている. そこで本研究では二酸化炭素経皮吸収による筋毛細血管退行の予防効果を検証した.さらに超音波照射による炎症抑制や代謝促進効果についても検証する計画である. 平成29年度は二酸化炭素経皮吸収による糖尿病性毛細血管退行の予防効果について検証した.慢性的な高血糖曝露は骨格筋のクエン酸シンターゼ(CS)活性の低下や毛細血管の退行を引き起こした.一方,経皮的二酸化炭素吸収は高血糖曝露によるCS活性低下や毛細血管退行を抑制し,血糖の上昇を抑制した.さらに骨格筋の代謝や血管新生に関するeNOS, PGC-1α, COX Ⅳ, VEGFタンパク質発現量を増加させ,血管新生抑制因子(TSP-1)の低下が認められた.これらの結果から経皮的二酸化炭素吸収は骨格筋の代謝や血管新生に関わる因子を増加させ,血管新生抑制因子を低下させることで高血糖曝露による骨格筋の酸化的リン酸化機能低下や毛細血管退行を抑制することが明らかとなった.また,超音波照射による効果を検証するためにC2C12筋芽細胞を使用して予備検討を実施した.C2C12筋芽細胞の超音波照射ではインテグリン/focal adhesion kinase (FAK)のリン酸化の増加が観察され,P38MAPKリン酸化が減少させ, 炎症モデルにおいてTNFaの発現を超音波照射で軽減させる効果を観察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究結果から経皮的二酸化炭素吸収は骨格筋の代謝や血管新生に関わる因子を増加させ,血管新生抑制因子を低下させることで高血糖曝露による骨格筋の酸化的リン酸化機能低下や毛細血管退行を抑制することが明らかにすることができた.また,培養細胞による予備試験で,リポポリサッカライド誘導性の炎症性サイトカインであるTNFaも超音波照射で軽減させるできる可能性が観察された.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られた成果は二酸化炭素吸収による微小血管でのずり応力の増加がeNOSの発現を増加させ,血管新生に関与する因子が増加したものと考えられる.この仮説を検証するために,さらなる検証が必要であり,本検証を今後実施する計画である.C2C12筋芽細胞の超音波照射ではインテグリン/focal adhesion kinase (FAK)のリン酸化の増加が観察され,P38MAPKリン酸化が減少する結果を得た.また,リポポリサッカライド(LPS)誘導性の炎症性サイトカインであるTNFaも低下を示した.本炎症抑制効果がin vivoの実験でどのような効果をもたらすかを今後検討する計画である.
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Research Products
(10 results)