2019 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム・中国二国間関係の下で揺れ動くベトナム華人に関する歴史的研究
Project/Area Number |
16H03310
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 正子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20327993)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下條 尚志 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 助教 (50762267)
小田 なら 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 特任研究員 (70782655)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 華人 / ベトナム / 中越関係 / ガイ / ヌン自治国 / 華僑 / ビントゥアン省 / ニントゥアン省 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、8月にベトナム南中部のビントゥアン省・ニントゥアン省で1週間のフィールド調査を実施した。ビントゥアン省バクビン県ハイニン社(行政村)は、北部中越国境でフランス植民地期に「ヌン自治国」を形成していたガイと呼ばれる客家系の人々が、1954年の南北分断時に社会主義政権の支配を嫌ってサイゴンに渡り、その後再移住して多く住み着いた地域である。訪問したところ、ハイニン社は元々ベトナムの少数民族であるチャム人が原住民であったと考えられ、そこにガイやベトなどが後から入植してできた新興の村だった。ハイニン市場、ヴァンハイン寺、ガイの信仰の特徴である立派な観音廟、華人廟などを訪問して、歴史を知る高齢者を中心にインタビューを実施した。その結果、ハイニン社はベトナム戦争中に米軍が駐屯したり、ヌン自治国を率いていた黄亜生が、南ベトナム政権下で組織した部隊もあり、軍需で繁栄していた様子を聞き取れた。その後ニントゥアン省中心都市ファンランに移動し、国の史跡指定を受けた海南会館、潮州会館、広東会館などを訪問した。インタビューと文字資料収集を進め、ファンランにあった大きな華人社会の歴史をある程度解明できる目途がついた。 最終年度であるので、12月に京都(東南アジア学会関西例会)と東京(日本ベトナム研究者会議の研究会)で、ベトナム側で一貫して研究に協力していただいたハノイ人文社会科学大学のグエン・ヴァン・チン先生を招いて、まとめの研究会を開催した。20人が集まり盛況であった。それぞれのタイトルは「二つの国の間で生きる:1978-79年の国境戦争でクアンニン省の華人はどのような影響を受けたか」「ベトナムの民族分類政策に翻弄された中国系住民-運命が暗転した『華人』と安泰だった『サンジウ』」「混淆と移動から考えるメコンデルタの『華人』」、「現地化する医療―ベトナム伝統医療における『華人』」である。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(17 results)