2017 Fiscal Year Annual Research Report
真矛盾主義とアジア思想:分析アジア哲学の国際研究拠点形成
Project/Area Number |
16H03344
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
出口 康夫 京都大学, 文学研究科, 教授 (20314073)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 直也 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (40749412)
大森 仁 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD) (50771036)
大西 琢朗 京都大学, 文学研究科, 教務補佐員 (50773529)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 分析アジア哲学 / 真矛盾主義 / 非古典論理 / アジア思想 / 京都学派 / 仏教哲学 / 形而上学 |
Outline of Annual Research Achievements |
分析アジア哲学の国際的な共同研究を推進した。具体的には2017年6月に「Dialetheism and Related Issues in Analytic Asian Philosophy」を開催し、アジア思想における「矛盾」の哲学的・論理学的意義に関する討議を行なった。同会議には Graham Priest, Jay Garfield, Mark Siderits, Ricki Bliss, Filippo Casati ら本研究プロジェクトの海外協力研究者が多数参加したのに加え、Wen-Fang Wang, Chih-chiang Hu, Chi-Yen Liu, Chun-Ping Yen (以上、台湾), Kanit Mitnunwong (タイ)といったアジアの研究者も参加した。 その後は、この会議を踏まえ、英文論文集発刊のための研究・編集作業を進めた。発表を審査した上で、一定の基準を満たした発表者に対して原稿執筆依頼を行なう一方、外部の執筆者にも寄稿を依頼し、2017年12月から2018年3月にかけて提出された論文について、現在、査読作業を進めている。 一方、Jay Garfield, Graham Priest, Robert Sharf ら海外研究協力者と進めている共著 What Can't Be Said の共同執筆の作業も進めた。具体的には2017年6月に四者による集中WSを開催し、その後も、各自が、適宜、メールやスカイプ等を駆使して議論を継続しつつ担当章の執筆を進めた。その結果、2017年年末までには、全章の原稿がほぼ完成し、その後、細部の調整を経て、2018年3月には原稿をOxfold University Press (New York)に送付し出版を依頼したところ、ただちに編集会議で認められ、現在、外部審査員による査読が行なわれている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
出版計画が予定以上に順調に進んでいる。具体的には、海外協力研究者との共著 What Can't Be Said は、Oxford University Press への原稿送付後、極めて短期期日のうちに編集会議で企画が認められ、現在、査読作業が進行中であり、早ければ2018年度中の出版も見込まれる状況となっている。 また分析アジア哲学の研究ネットワーク構築も予想以上に進展した。具体的には東南アジアの研究者との研究連携が進展し、上記の2017年6月の国際会議にタイの研究者が参加したことに加え、研究代表者がタマサート大学(タイ)の大学院生の指導嘱託を受けることとなり、同大学での分析アジア哲学の次世代研究者の育成にも参画することとなった。また研究代表者は What Can't Be Said に収録される予定の一章の補遺的な研究を2017年6月、京都大学で開催された国際会議「高橋里美国際研究会」で発表し、北米の道元研究者やメキシコの日本哲学研究者と共同討議を行なったが、これを契機として、両者との共同研究が開始されることとなった。前者とは2018年1月に京都大学において再び研究討議を行い、同年10月にもニューヨーク市立大学で共同討議を行なう予定である。また後者からは招待講演の依頼を受け、2018年6月にメキシコ自治大学で分析アジア哲学に関するセミナーを開催する予定である。さらに上記2017年6月の国際会議に参加した香港城市大学の研究者の招きを受け、同年11月に同大学を訪問し、分析アジア哲学に関する講演を行なった。加えて、同11月には国立台湾大学を訪れ分析アジア哲学に関する連続講演を行ない、同大学と継続的な共同研究を行なうことに合意した。台湾大学との共同研究は、その後、2018年3月と4月に実施され、今後も継続される見通しである。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、本プロジェクトに関する三冊の書籍の出版に向けた作業を加速的に継続する予定である。まず、上記 What Can't Be Said に関しては、査読結果が判明ししだい、それに迅速かつ適切に対処することで、本年度中の刊行を目指す。また上記、国際会議を踏まえた論文集については、本年度前半に第一次の原稿査読を終え、2018年9月には最終原稿を確定した上で、Oxford Univerity Press との出版交渉に入る予定である。また研究代表者と海外協力研究者の一人である Mark Sidertis の共編著である An Introduction to Analytic Asian Philosophy についても本年度前半に原稿査読を終え、本年9月には最終原稿を確定し、出版社との出版交渉に入る予定である。 また本プロジェクトの研究が進展して行く過程で、「矛盾」に加え「自己」が分析アジア哲学の重要なテーマとして浮上してきた。本年度は、この「自己」をも重要なテーマとして分析アジア哲学の研究を推進していく予定である。具体的には、2018年4月には「自己」をテーマとする国立台湾大学との国際共同ワークショップを開催し、5月には国内外の6名の研究者を招いた「自己」に関する連続国際セミナーを開催する。さらに9月には台湾の諸大学(国立台湾大学・国立清華大学・東海大学・慈済大学)で、また10月にはUCSD で、さらに12月には京都大学で「自己」に関する研究集会を開催する予定である。 さらに分析アジアの研究ネットワークの更なる拡大にも取り組む。具体的には、北米東海岸のHarvard 大学・Smith College、西海岸のUCSDとの共同研究を開始し、その中で分析アジア哲学を重要な研究テーマの一つとし位置づける。加えてイタリアのパドヴァ大学や中南米の諸大学との連携も探る予定である。
|
Research Products
(38 results)