2016 Fiscal Year Annual Research Report
中国道教における聖地と巡礼に関する総合的調査と研究
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16H03349
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
土屋 昌明 専修大学, 経済学部, 教授 (80249268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横手 裕 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (10240201)
山下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 准教授 (20383383)
鈴木 健郎 専修大学, 商学部, 准教授 (40439518)
大形 徹 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60152063)
二階堂 善弘 関西大学, 文学部, 教授 (70292258)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 道教 / 洞天 / 山岳信仰 / 聖地 / 巡礼 / 中国宗教思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度には、フランスのl'Ecole Pratique des Hautes EtudesのVincent Goossaertほかの研究者と協力して、平成29年3月24・25日にフランス・パリで国際研究会議「第2回日仏中国宗教研究者会議」(Holy sites and pilgrimages. The Daoist living tradition and comparative perspectives on East Asian Buddhist, imperial and local practices: Second colloque Franco-Japonais sur les lieux saints taoistes, Paris, March 24-25, 2017)を開催した。本会議は、2014年3月に第1回を東京の専修大学で開催し、その研究成果は、すでに2015年度の科研費研究成果公開の助成によって、2016年2月に東方書店から発刊してある。こうした日仏合同の国際会議の連続開催は、日本の道教研究では30年ぶりのことである。このような研究は、フランスの研究成果を吸収し、日本社会に還元するのみならず、日仏の中国研究の学術交流・若手研究者育成にも大きく貢献できるであろう。本研究会議は「中国宗教における聖地と巡礼」をテーマとして、日本から本研究メンバーのほか、研究協力者10名が参加、フランス側からは11名が研究発表をおこなった。 これに関連して大形徹が論文を2篇、土屋昌明が論文を2篇作成した。これらのほか、研究協力者(三浦國雄・酒井規史)による2論文をあわせ、『洞天福地研究』第7号を編集した。 本研究の研究会は2回、4月30日は研究代表者の土屋昌明が本研究の方向性を論じた。12月24日は、研究協力者2名(石野一晴・酒井規史)と土屋昌明による研究発表3本を議論した。いずれも、上述の国際会議に向けた予備的研究報告である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際研究会議「第二回日仏中国宗教研究者会議」は、本研究の計画段階から予定されていたものであり、これを順調に実現できた。これについて、研究発表の質・量ともに計画以上の達成をしており、日仏両国の学界での反響もあって、成功したと評価できる。また、研究内容も中国宗教における聖地と巡礼の問題を検討するという計画通りの方向性で進捗している。「第二回日仏中国宗教研究者会議」の成果論文は、これから刊行されるのを待たねばならないが、研究発表は英語・中国語などを使用して、国際的な視野のもとに発信されている。そのうちの一部は、日本語による論文として報告書に発表することができた。本会議の準備のための研究例会もおこない、事前の討論も進めることができた。 以上の研究により、中国宗教思想における聖地と巡礼に関する研究が相応に進んだとともに、中国宗教に関する研究の日本・フランス間の学術交流が大きく促進された。ただし、中国宗教思想の通時的な研究においては、総合的な研究がやや進まなかった嫌いがある。この点については、今後進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
国際研究会議「第二回日仏中国宗教研究者会議」の成果を、フランスのBibliotheque de l'Ecole des Hautes Etudes, Sciences religieusesで、英語ないしフランス語による論文集として発刊するよう進める。これには、当該会議で研究発表をした日仏の20人だけでなく、コメンテーターとして参加した研究協力者にも論文寄稿を勧め、もって日仏の中国研究の国際交流および若手研究者育成に貢献したいと思う。 平成28年度にあまり勧められなかった課題として、道教の聖地(洞天)に関する中国通史的な叙述および各論的な研究があり、これについて所定の分担者による論文作成を進めるとともに、あわせて王屋山と茅山を個別の例にした叙述を分担する。この研究には本研究の総括的な役割を担わせ、平成29年度内に基本的な構想をまとめるように進める。なるべく平成30年度に出版助成を申請し、単行本として出版できるようにする。 また、中国の山岳・洞天の現地調査については、夏期休暇を利用して、会稽山・麻姑山などの小洞天を個別に調査し、年度内に調査報告を作成する予定である。 以上の研究の一部を論文化して、『洞天福地研究』第8号として報告する。
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Research Products
(25 results)