2019 Fiscal Year Annual Research Report
南アジア多言語社会における複合文化のなかの文学伝承
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16H03410
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
水野 善文 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (80200020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 守男 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (90143619)
萩田 博 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (80143618)
丹羽 京子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (90624114)
太田 信宏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (40345319)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラーマ物語 / バーラーマーサー / 歴史事象と文学 / 映画と文学 / 美的表現方法 / 語り |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年7月6日開催の研究会では、松木園久子氏よりボーパールを拠点にして児童教育を旨とするNGO:Eklavyaの出版、セミナーなどの活動について現地調査に基づく報告を受け、とりわけ民話ベースの児童書刊行の実態に、現代における文芸の発信形態の一例として、伝統的「語り」の変容した様を見た。また宮本久義氏からはサンスクリット戯曲諸作品に登場するクシャパナカと呼ばれる行者の描写が多様なことに注目して宗教史・文化史の観点から考察が加えられたが、これによってそれぞれの文学作品が編まれた文化的環境を観察することが出来た。2020年2月8日の研究会では、置田清和氏が中世後期ヒンドゥーのバクティ信仰を文学鑑賞理論ともいえるラサ論をもって理論武装する諸作品を精緻に文献学的分析をほどこし、論者(聖者)ごとの思想の微妙な差異を鮮明にした。また、太田信宏氏は近世南インド・カンナダ語による修辞学書の時代による内容比較、および底本とされたサンスクリット語修辞学書との比較をとおして、地方語による文学理論書の真価を探求した。いずれも、シャーストラ(理論書)を扱ったことから多言語にわたる諸文学に通底する思潮のもと多様な文学作品が生み出されてきた様相を確認することが出来た。それは坂田貞二先生による、16世紀北インド、ヒンディー・アワディー方言によるラーマ物語『ラーム・チャリット・マーナス』が先行する多くのバージョンに依拠していることを実証した報告にも通じ、言語の違いを超えて展開する文学文芸が鮮明化された。 年度末には、設定してあった6つのトピック「歴史事象と文学」「ラーマ物語」「十二ヶ月諷詠(バーラーマーサー)」「映画と文学」「美的表現方法」「語り」のそれぞれにつき、分担者・協力者の各専門領域からの論考を冊子体の形でまとめて刊行することが出来た。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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