2017 Fiscal Year Annual Research Report
Sociolinguistic general studies about geographical differences of official language
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16H03420
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
井上 史雄 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (40011332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Daniel Long 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (00247884)
半沢 康 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10254822)
松田 謙次郎 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 教授 (40263636)
木村 泰知 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (50400073)
田辺 和子 日本女子大学, 文学部, 教授 (60188357)
田中 宣広 岩手県立大学宮古短期大学部, その他部局等, 教授 (60289725)
西尾 純二 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60314340)
高丸 圭一 宇都宮共和大学, シティライフ学部, 准教授 (60383121)
宇佐美 まゆみ 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90255894)
岸江 信介 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (90271460)
久能 三枝子 (高田三枝子) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (90468398)
山下 暁美 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (10245029)
竹田 晃子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (60423993)
柳村 裕 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (50748275)
阿部 新 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 准教授 (00526270)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 方言 / 標準語 / 言語景観 / 社会言語学 / 公共用語 / 地方議会会議録 / インターネット情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「公共用語の地域差に関する社会言語学的総合研究」という新テーマに関して、データを集め、分析した。従来見落とされていた斬新なテーマとして、公共場面での意識的使用、談話としての方言差および気づかない方言や方言景観を取り上げた。地方議会会議録のデータベースを活用し、新しい研究技法を採用した。さらにインターネット上から情報を得て、世界の諸言語・方言の国際的相互普及も探求した。 日本語方言学の主な関心は、古来の日常の方言使用だった。21世紀に入り、高年層も方言を保持することが少なくなり、従来型の方言調査では、地域差をカバーできない。本研究では、新鮮なテーマとして、気づかない方言や、談話としての方言差、および公共場面での方言使用を取り上げた。また新しい研究技法を採用し、公共的場面として地方議会会議録のデータベースを活用し、さらにインターネット上から情報を得た。 研究は、当初計画通り進んでいる。2018年度はデータ収集と分析を進めた。研究代表者が通勤する義務がなくなり、一方有能な作業者が見つかったので、データ入力や分析、考察が進んだ。またフィールドワークにより、離島の方言を新たに収録した。さらに、離島で津波災害について、持続可能な伝承を確立することに、研究者として働きかけた。新聞や雑誌によって、成果を一般人にも公開できた。データ分析、考察をさらに進めた。学術誌・国際会議でも公開した。 本研究で採用した視点と研究技法は、社会言語学・経済言語学の下位分野として位置付けられる。景観言語学・都市言語学の中に位置付けられ、同時に視覚言語学visual linguisticsという新分野の萌芽を示す。研究成果は紙出版によらず、また電子出版にもよらず、ヴァーチャル博物館として、インターネットで公開することも視野に入れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り進んでいる。有能な作業者が見つかったので、データ入力や分析、考察が進んだ。フィールドワークにより、離島の方言を新たに収録した。新聞や雑誌によって、成果を一般人にも公開し、データ分析、考察をさらに進めて、学術誌・国際会議でも公開した。 1.新たな企画として、『庄内浜荻』の方言残存調査を行った。1767年に刊行された山形県の方言集の残存調査が1950年に行われた。同調査を繰り返すことにより、生年で120年間、刊行以来250年の言語変化を考察し、公共用語の普及過程を探った。井上・半沢・竹田が主担当。2.日本海の離島の方言調査を継続した。これまで東日本でグロットグラム調査の報告書を刊行され、日本全体の地理的調査が行われた。しかしこれらでは離島に抜け落ちがあり、大事な言語情報がもれている。共通語化が急速に進みかつ人口流出が続く今、緊急に調査を行う必要がある。半沢康はじめ若い研究者の協力が得られたので、3地点で4世代に面接調査を行った。データはコンピューターに入力した。今後グラフとして出力し、多変量解析法を適用して分析する。3.地方議会会議録が公開され、研究分担者木村泰知が構築中のデータベースを拡大し、一般人にも利用しやすくした。これを活用して、多様な言語現象の地域差を分析した。井上、木村、高丸が担当した。4.人々が意識していない「気づかない方言」を研究対象にし、文献およびインターネット調査により、地域差を確認した。井上および岸江、山下が担当した。5.方言の公共場面における意識的使用・方言景観について、現場で大量データを集積し、新たな方言差を分析した。Google maps やGoogle street viewも活用し、全国的かつ地球規模でデータを収集した。さらに江戸時代以降の歴史的動向もとらえて、長いタイムスパンの中に現代語を位置づけた。井上、田中、Longが担当した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には、データ収集を続け、本格的な分析を進める。以上の研究テーマの成果を最終的に統合する過程にある。現時点で観察される一見多様な現象にも、統一的原理が貫徹していることを明らかにする。学会・国際会議国際会議での発表を心がけ、外国語にも適用可能な手法であることを海外にアピールするとともに、このような観点からの研究の意義に気づいていない欧米の研究者を啓発し、関連情報を集める。 リトアニア(ビルニュス)中国(大連)および日本(大分県)の国際会議で講演および研究発表を行う。 国内の学会でも研究発表を行う。 「庄内浜荻」の方言残存状況や各地のグロットグラム調査の資料集を、インターネットまたはCDなどの電子媒体としていち早く公開する。
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Research Products
(53 results)